Kindleで電子書籍出版始めました!

Ukiyoe-3dimensionsシリーズとして中村宣夫作品集を出版致しました。第一弾は江戸城です。

家康、秀忠、家光の築いた三天守と建造されなかった四つめの天守。江戸城全景、将軍の生活、大名登城、役人、大奥の作品を集めました。是非Amazonにてご覧下さい!
今まで出版社の仕事をしていた割に、というか出版社と仕事をしていたせいか、自分達で本を出版する事を考えた事がありませんでした。なのに、なぜ今さら?
実は先月のイベント江戸時空に若い頃勤めていた会社のコピーライターの「むう」さんが遊びに来てくれました。私と同世代で子育てもしていた彼女は、今でもちゃんとコピーライターもしていて、ショートショートの編集もしてKindleで出版していました。すごい。静かな人なのにパワフル!そんな彼女が電子書籍出版を勧めてくれました。(おまけに舞台の台本も書いていた、、、刺激されます)

実は今まで紙での出版は考えたことがあったのですが、電子出版を考えた事が無かったので、結構衝撃でした。私的には本は紙が好きで漫画以外はほぼ紙の書籍。手元に残る感じも好きです。特に画集や専門書関係は、学生の頃からずっと残しています。断捨離してもこの辺だけは捨てられない、、、。
でも本は紙、という概念は古いですね。特に写真集や作品集はデジタルの方が気軽で綺麗かもしれません。印刷や紙によって色も作品の表情も変わりますから。元々デジタル作品ですしね。作品もネタもあるし、Kindleなら簡単に出来るよ、とむうさんにアドバイスを受けて、早速その気に。
Kindleで美術書を多く出版しているTAPIRUS出版の渋谷漠さんを紹介してもらって、初心者の私に色々教えてくれました!凄い良い方で、マヌケな私に色々アドバイスしてくれて、背中を押してもらいました(T ^ T)

むうさんも渋谷さんも執筆。
vol.11まで発売されてる人気ショートショートマガジンです。
Kindleで人気のアートブックをたくさん出版しているTAPIRUSさん

出版するための編集と電子書籍にした時のマヌケな顛末はまた次回。

川越祭

10月14〜15日は川越祭でした。地元のお祭りが世界遺産って誇らしいですね。


我が家はちょっと街から外れているので、電車に乗って東武東上線川越市駅まで行きました。普段、川越の街に行く時は自転車で行くのですが、祭りの時は駐輪場がいっぱいになっているだろうと、電車を利用。
川越祭は昔から激混みですが、案の定、今年も激混み!でも西武線本川越駅から蔵の町に伸びる道路が拡張工事によって広くなったので、割とスムーズに蔵の町まで行けました。(昔は諦めて駅前の屋台で遊んで帰ってました)

まず最初の楽しみは、本川越駅前に出ているkoedoビールのテントです!まずここでビールを買って飲みながらブラブラ〜。年に一度の楽しみです。周りにツマミに良さそうな屋台がずらりと並んでいますが、取り敢えず先に進みます。

川越祭ビール!

山車は29台出ているので、ぶらぶら歩いているとお囃子の音とともに山車に出会えます。山車は県や市の文化財になっているものが多く、街中で文化財を堪能でます。山車同士が出会うと、「曳っかわせ(ひっかわせ)」というお囃子とダンスバトルが始まります。山車の前に乗っている「ひょっとこ」や「おかめ」達の見せ場ですね。

日が傾くと提灯がついてより一層美しくなります。


今回は昔の仕事仲間のカメラマンさんも遊びに来てくれたので途中から一緒に回りました。初めての川越だったそうで、思った以上に綺麗に昔の街並みが残っている、と驚いていました。次回はお祭りじゃない時にゆっくり町を見たい、と言って頂き川越市民としては嬉しい限りです!

すごいガチャを発見、川越っぽいぞ
1銭が出てきました
蔵の町の信号はこんなことになってます。山車がぶつからないように回転できるようになっているんですね、、、。
今年も行けなかった、蓮馨寺のお化け屋敷。

MOA美術館

この夏、久しぶりに熱海へ温泉旅行に行ったので念願のMOA美術館に!

岩佐又兵衛がある!という事にしか興味が無かったので、どんなところにあるとか良く知らずに行ったのですが、行ってびっくり、というか行く途中でびっくり!!熱海の山の上、しかも温泉街からは細くて急な山道を行かなければならず、、、。クネクネ曲がっているし、次男の運転で行ったのですが、もう行かなくても良いかな、くらい怖かったです、、、。他のルートもあったのかも知れませんが、温泉街に出るには多分細くて急な坂道を通らないとダメだと思います。熱海が坂の街だから仕方ないですね、、、。

でも事故らず、無事に到着。ホッ。

肝心の美術館ですが、とても美しい美術館でした。なんと言っても山の上なので眺めが良い!窓からの景色が既に絵画でした。おすすめの観光スポットですね。

鎧塚氏のレストランも入っていて、まさか熱海で、一流パティシエのケーキが食べれるなんて!貴重な体験!美味しかったですよ。

秀吉の金ピカの茶室も再現されていました!

今回の展示は浮世絵で、「北斎 The Great Wave × Digital」を開催していました。という事で、見たかった又兵衛の絵巻は見れなかったのです、、、(泣)。常設展示はしていないんですね。でも又兵衛風の屛風と浮世絵が見れて良かったです。北斎も大好き!

こちらの美術館はお庭も素敵だそうですが、今回は時間がギリギリに入ったので、お庭が見れず、残念でした。

又兵衛かな〜と必死に見たのですが、違うかも。毒さが足りない。
こんな大胆な構図の屏風も好きです
美しい肉筆浮世絵

オマケですが熱海の花火は見事でした!ホテルの屋上から見ました。熱海の街が花火に飲み込まれそうです。また温泉入りに行きたいなぁ~。

江戸を精密再現したイベント開催

VRで江戸時代にタイムトラベルできるイベント「江戸時空」が9月1日からカレッタ汐留にて開催します

歴史CG作家・中村宣夫と先進映像TECH共創ラボ- EJEVAR(エジェバル)がコラボレーション。精密再現された寛永時代の江戸城本丸御殿と日本橋、裏長屋、吉原を先端VR技術でタイムトラベル体験。

東京ではなく江戸と呼ばれていた時代。わずか150年前のことなのに、その時代の人たちがどんな町でどんな生活をしていたのか知りません。

もっと江戸を身近に感じて欲しいから。3DCGで町を蘇らせました。

日本橋の町の美しさや、長屋の狭さ、吉原の妖艶さ、そして江戸城の壮大さ。全て視覚から理解できます。

EJEVARの5つのコンテンツ「DOME ROOM」「CUBE ROOM」「SURFACE」「HEAD MOUNTED DISPLAY」「LANTERNA」で江戸の町を旅してみませんか?

「DOME ROOM」「HEAD MOUNTED DISPLAY」では江戸城御殿内部、日本橋、裏長屋は当時の生活の様子をナレーション付きで詳しく上映致します。

「CUBE ROOM」では3面に投影される美しい映像をお楽しみください。

「SURFACE」では中村宣夫の過去の作品をスライドショーとして上映。ドームやキューブでご覧頂けない、江戸各所や江戸城4天守を上映します。

「LANTERNA」はカフェや生活の一部に江戸を感じられるディスプレイです。江戸時代の日本人にとってアートは生活の一部。そんな生活を現代の最新技術で再現します。

歴史好きの方だけでなく、歴史が苦手な方にも江戸を身近に感じていただけるイベントです。

江戸VRのイベントを準備中

中村の3DCGをVRにしたイベントを準備中です。

おしゃれなカレッタ汐留のEJEVARを江戸の空間にします!

江戸時代の日本橋、裏長屋、吉原、そして江戸城御殿の内部をVRにしました。かなりクオリティの高い作品で、内容も濃く出来ていると思います。ナレーション付きで江戸をわかりやすく解説します。

その分制作に時間が掛かっておりまして、本当は春の予定が夏になり、秋も近づく頃やっと実現の目処が立ってきました。

初めて本格的なイベントの開催をするので「あれもこれもやりたい」と「あれもこれもやらなきゃ」とバタバタしております。V広報活動も初なので戸惑う事ばかりです。

でもサポートしてくださる皆様のお陰でどうにか近日中に開催のお知らせが出来そうです。

江戸絵画の華展

『江戸絵画の華』展に行ってきました!と書こうと思っていたら、もう2月!1月10日に予約をして行ってきたのですが、日々色々な事に追われ、あっという間にひと月経ってしまいました。

今回は伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」を目的に行ってきました。本当は2年前に企画されていた展覧会ですが、コロナで延びてやっと今年お目にかかれました!

この展覧会は2019年にアメリカのプライス財団の日本画コレクション約190点が出光美術館のコレクションに加わりました。その中から約90作品を第一部と第二部に分けて展示公開しています。現在は第一部公開中です。

若冲の作品だけでなく他の作品も素晴らしく、これらの作品が日本に帰って来た事は本当に嬉しい。出光美術館には感謝しかありません。今回お目当ての「鳥獣花木図屏風」も、アメリカにあったので直接見る機会は無いかも、と諦めていました。本当に嬉しい。日本は戦争や震災もあったので、その期間アメリカで大切に保管されていたから今でも良い状態のまま作品が残っていたと思うと、エツコ&ジョー・プライス夫妻にも感謝です。そして審美眼の高さに感服します。

その「鳥獣花木図屏風」。いつも若冲の執拗なまでの細密描写には驚かされますが、この作品は同じ細密でも全く違う作品です。タイル状の升目を延々と描き、多くの動物と草木を描き、更に周囲に額縁の様な同じモチーフを描いています。今ならコピペで一瞬ですね〜。若冲の絵に対する執着、パワーを感じました。動物彩絵の羽の一つ一つを描く緻密さとは少し違って、新鮮でした。これを江戸時代の人が描いたなんて。この絵を見るといつもゴーギャンやアンリ・ルソーの「夢」を思い出します。もし彼らがこの絵を見たらショックを受けるのでは無いでしょうか、、、。

伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」江戸時代 18世紀  六曲一双 紙本着色 168.7×374.0cm
江戸絵画の華展カタログより

若冲も他の作家と同じように工房を持っていたようで、弟子たちと共に制作していたらしいことが近年の研究で明らかになっているそうです。これだけの作品を一人で手掛けるのは難しいですから当然と言えば当然です。コピペ出来ないですからね〜。以前から思っていたのですが、工房で弟子と共に作品を作っていても弟子が育つ工房と育たない工房があります。狩野派や浮世絵の歌川派などは多くの有名な弟子が生まれていますが、若冲や又兵衛、北斎も弟子を取っていたのにその弟子は有名になりませんでした。個性の強すぎる師匠は弟子を育てるのには向かないのでしょう。好きな作家ばかりですが、、、、。

また元々この絵画は日本間に飾られていた、というのも新鮮です。現在は美術館の展示ブースのガラスの奥にありますが、元々はどこかの、多分京都の武家か豪商の御屋敷にあったはずです。畳と襖の部屋にこの屏風!サイズも大きく迫力があります。ぜひそのシチュエーションで展示して欲しいものです、、、。

ちなみに今回の展覧会は予約制ですので、ゆっくり見られて大満足です!人混みの後ろからチラッと見える、なんて事はありません。余裕を持ってじっくり見られます。出光美術館の貫禄を感じます。第二部も予約しないと!

「江戸絵画の華展」出光美術館2023年1月7日〜3月26日

古尾谷八幡神社御朱印

今年初ブログは縁起の良い話題から。

川越市にある古尾谷八幡神社の御朱印を作りました!全国的に珍しい、もしかしたら全国初?のCG制作による絵入御朱印です。

古尾谷八幡神社は863年(貞観4年)に創建された歴史の深い神社です。石清水八幡宮の分霊をお奉りしたのが始まりで、源頼朝や藤原時景、北条氏政、徳川家康にも縁があり、宮司さんや氏子の方々によって大切に現代まで守られています。社殿は埼玉県指定有形文化財、9月に行われる神幸祭、別名「ほろ祭」は県指定無形文化財です。

川越市民ではありますが、御朱印を製作したいというご連絡を頂いてから初めて古尾谷八幡神社に行きました。「ほろ祭」が有名な神社なので、一度行きたいと思っていたのですが、自宅からは少し離れているのを言い訳に行ったことがありませんでした。良い機会を頂いたのでお話を伺いつつ、神社をお参りして来ました。

古尾谷八幡神社は川越市内ですが荒川に近く市街地から離れていて、公共交通機関を利用すると、JR川越線南古谷駅から徒歩35分!周りは田圃に囲まれている長閑な場所にあります。自宅からサイクリングしながら行った方が早いので長閑な風景を眺めながら伺いました。

神社のすぐ近くの田圃の中に鳥居を見つけました。
これは古尾谷神社ではありません!
畦道に鷺

失礼ながら、川越のハズレの小さい神社だろうと思って行ったのですが、想像以上に敷地が広く、大きな鳥居は石造と木造の3つもあり、社殿も大きく大変立派な神社でした。これはもっとたくさんの方に来て頂いて古尾谷八幡神社を知って頂きたい!そしてこれからも末永く守って行ってもらいたいです。

一番外側の石造の鳥居から。
雨が降りそうな生憎の天気。
赤い鳥居を入ります
更に石造の凱旋門もあります。
本殿。修復工事をされて綺麗です。
奥行きがあり、立派な本殿
本殿の後ろにも社が沢山。県指定文化財です。
手水舎の上にも狛犬が!可愛い
狛犬多いめです。狛犬好きの方にもおすすめ

アクセスはあまり良くありませんが、私と同じようにサイクリングで来る方も多いようですし、駐車場もありますので、神社好きの方、御朱印を集めている方は是非行ってみてください。

小さい神社ですので、御朱印ご希望の方は連絡してから参拝して頂いた方が良いそうです。CGの御朱印だけでなく、通常の文字のみの御朱印もあります!

アクセス等は下記HPを参考にして下さい。

小江戸川越ウエブ https://koedo.or.jp/spot_148/

古尾谷八幡神社宮司さんツイッター https://twitter.com/furuoyashrine

岩佐又兵衛

江戸初期の画家、岩佐又兵衛勝以については3回目になります。

9月に行った「日本美術をひも解く」展で又兵衛の絵巻「をぐり」を久しぶりに鑑賞したら、やはり素晴らしくて、国宝が居並ぶ中、ダントツ!と思い(主観です)その後又兵衛の絵巻の図版を数冊購入しました。

又兵衛の絵画は緻密かつ躍動感があります。その人物は表情豊かです。絵巻は当時、漫画のようなアニメのような存在で、詞書(ことばがき)で物語を語り、そのシーンが描かれています。又兵衛の絵巻には絵に勢いがあり、かつ、一つ一つのディテールは細かく、細密です。また陰を描いている箇所もあり、立体感もあるので、絵だけ見ていても次の展開がどうなるんだろうかと引き込まれます。このような、躍動感があり、かつ極彩色な絵巻は少ないのではないでしょうか。

牛若丸の母、山中常盤の息絶えるシーン。
母の瀕死の表情と、宿の主人夫婦の切ない表情。
山中常盤の牛若丸が盗賊を仇討ちするシーン。
戦国の世を生き抜いた又兵衛。血生臭い。

細密画といえば若冲ですが、若冲は「動物彩絵」に代表されるように動植物を好んで描いてましたが、又兵衛は人物。人に対する、愛なのか憎しみなのか、執念なのか、そのエネルギーをさまざまな人物のさまざまな表情、行為を描くことに向けている。人間臭い、ドロドロした感情も見える。又兵衛の最大の魅力がその人間の情感を描いているところだと思います。

先日、「川越仙波東照宮の特別公開」に行ってきました。仙波東照宮は重要文化財ですが、その拝殿には又兵衛の「三十六歌仙額」があります。この作品の裏書から半ば伝説的だった浮世又兵衛が岩佐又兵衛であり、勝以である事が証明され、又兵衛研究が進んだ重要な作品です。

今回の特別展では本殿と御神体(家康公)や拝殿内部と共に「三十六歌仙額」全作品も一緒に公開されました。普段は「埼玉県立歴史と民族の博物館」に収蔵されているのですが、仙波東照宮のものです。現存する作品数の少ない岩佐又兵衛の代表作の一つが川越にあると思うと嬉しいし市民としては誇りに思います。

「川越仙波東照宮の特別公開」なのでメインは東照宮そのものですし、博物館の展示のように見易く展示されているわけではなく額が掛かっていたのを再現しているので、高い位置に展示されているし、ライトも無いので鑑賞するにはちょっと見にくいのですが、本来の作品のあるべき姿を見られました。又兵衛も完成した時、同じように眺めたのかなと思うと感慨深いです。

本殿 内部と御神体が公開されました。
拝殿 内部に又兵衛の三十六歌仙額が飾られています。

ちなみにこの作品は寛永15年に火災で消失した仙波東照宮の復興のために依頼されたのですが、又兵衛の筆が遅いのか、忙しかったのか、まだ出来ないか、と督促状が残っているそうです。

そんな「三十六歌仙額」ですが、又兵衛の特徴の豊頬長頤(ほうきょうちょうい=頬がふっくらして、唇の下から顎にかけて長い)の姿で、細部まで緻密に描き込まれています。歌人の肖像画らしく静的で、絵巻や洛中洛外図屏風に比べると少々物足りない感じはしますが、毒々しさが抑えめで上品な作品です。

この作品は寛永17年(1640年)、又兵衛62歳の時の作品です。その10年後の72歳、江戸で亡くなっているので、晩年の作品ということになります。

小紋雅話

山東京伝作の「小紋雅話(こもんがわ)」という小紋の図案集のデータ化を試みました。

「小紋雅話」は寛政二年(1790年)蔦屋重三郎により出版された小紋模様見立絵本です。山東京伝の小紋集は好評だったようで、天明4年(1784年)「小紋栽ざい」、天明6年(1786年)「小紋新法」に続き3冊目に出版されたのがこの「小紋雅話」でした。

江戸の人は洒落好きだったので洒落の効いた風変わりな小紋です。実際にこの柄の着物が作られていたのかは分かりませんが手拭いや小物にするのは楽しそうです。

山東京伝(1761年〜1816年)は年齢的には葛飾北斎の1歳年下。浮世絵、読本、絵本の全盛期に戯作者、浮世絵師として活躍しました。浮世絵師としての名は北尾政演。寛政の改革のため、小紋雅話が出版された翌年の寛政三年には洒落本が禁令を犯した罪で手鎖50日の処分を受けています。しかし、その後も蔦屋重三郎と組み、多くの作品を残しました。

小紋雅話は江戸人の豊かな発想力と笑いを求める明るさ、大らかさが詰まった図案が156案描かれています。その図案を全てベクターデータ化しました。資料が古く鮮明では無いため、私の解釈でのデータとなりますのでご了承ください。順次illustACにて無料配布致しますので是非、風変わりな江戸小紋をお楽しみください。

『天竺にてはかんなクズを見て字を作し、オランダにては牛の涎を見て字をなす。唐の蒼頡(そうけつ)は鶏の足跡を見て、字を作りたると聞ゆ。われはまた犬の足跡を見て梅の花と見たて、書なるか、字なるか。いっこう分からざる物数十を作し、名付けて小紋雅話という。これももんがぁの類いにして、いずれ怪しかるべし。』〜小紋雅話叙

参考資料:「滑稽本集」日本名著全集刊行会刊

ダウンロードはこちらから  → illustAC

読書の秋

最近、矢島新著「日本美術の核心」という本を読みました。日本美術のオリジナリティについての著作ですが、とても面白かったです。

以前友人に、「日本人は西洋画のように写実的に描けなかったのかな?」と言われたことがりました。確かに遠近法とかの観念が無かったし、写真のようにリアルな絵画は日本画にはほぼ有りません。でも以前紹介した渡辺崋山のように写実的な人物画があるし、応挙の昆虫のスケッチなんて図鑑のようです(それ以上に美しい)。仏僧の木彫などには動き出しそうなリアルな作品もあります。それに、写実的かどうか以前に美しいものは美しいし、写実的じゃなくても面白い。と言っても、確かに江戸時代の西洋画風絵画でも遠近法はまだ未完成で不恰好だし、未熟にも見えてしまう。日本画の良さをどの様に説明したらいいのか上手く話せずモヤモヤと胸に残っていたのですが、この本の中に解答があってスッキリ!

西洋の絵画が現実をリアルに写す方向に芸術の世界が向かったのに対し、日本は美を表現する方向に向かったため、現実の世界と違くてもそれに重きを置いてこなかった。その結果としてデザイン性の高い作品が生まれていった、ということでした。

写実的ではない、イコール下手では有りませんし、写真の様に写実的だった西洋画が抽象画に方向転換したのは浮世絵の影響です。日本画は抽象画とも言えますから、浮世絵に衝撃を受けた印象派の画家たちが抽象画に向かい、現代アートまでの変革の道筋が出来ました。写実的=美という概念をぶち破ったんですね。

ヨーロッパが大航海時代以降、世界の覇者となったために西洋の(キリスト教的)価値観が世界に広まり、それ以外は野蛮だ、といった風潮になってしまったので絵画に限らず西洋的価値観で全てのものを見てしまうようになりました。その為にそれ以外の国々の文化への理解が乏しくなってしまったけれど、逆に西洋の画家が東の外れの国の絵画に衝撃を受け、芸術表現を大きく変えることになったのはとても面白いことです。自分達と全く違う文化を受け入れられる芸術家は度量が大きいと思います。というか度量の大きく柔軟な芸術家が世界を変えていくんだな〜と思います。

また、日本で印象派の絵画が人気なのは日本人として親近感があるからだと考えると納得がいきます。印象派以前のキリスト教の絵画や王侯貴族の絵画よりも日本のエッセンスが入った印象派の絵画は肌で理解できるのでしょう。

少し話がズレますが、私は西洋画では印象派よりも中世の作品が好きです。ギリシャの均整がとれた時代とルネサンスの間の、暗黒時代とも言われたキリスト教が支配していた時代です。なぜ好きかというと、とてもデザイン的で面白いから。写実的な観点から行くと下手ですが、平面でどの様に必要な宗教的要素が描けるのか工夫した結果、面白い絵画が生まれた様に思います。勉強不足で西洋中世画について多く語れませんが、金も多用していて、やはり日本画との共通点があるように思います。(今度詳しく調べてみよう!そうか、だから中世画が好きだったのか。)随分前ですがイタリアに行った時、ボローニャにある中世絵画の美術館に寄ってきました。やっぱり美しく面白い絵画でした。イタリアでもあまり人気がないのか、他に鑑賞している人はいませんでしたが、、、。

そのほかこちらの著書では世界の芸術の中心となった国(仏伊中など)の周辺国(日本も中国の周辺国)の文化や日本の素朴絵(かわいい絵)などについて書かれていて、興味深かったです。かわいい絵はまさに現代の漫画や様々なキャラクターに結び付きます。

文章も読みやすく日本美術の本質的な流れが分かりやすく書かれていて、芸術&読書の秋にぴったりの本でした。

日本美術の核心 周辺文化が生んだオリジナリティ (ちくま新書 1633) [ 矢島 新 ]

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