江戸前寿司

私は昭和生まれですが、当時の小学生の好きな食べ物といえば、カレーやハンバーグ、コロッケなどが上位を占めていました。平成生まれの子供たちはお寿司が1〜2位になっているそうですね。今時の子は味が分かるんだな〜と思いましたが、それ以上に昭和の時代は寿司は高級品。回らない寿司屋しかなかったので、特別な日にしか食べさせてもらえなかったけれど、今はファミレスと同じ感覚で回転寿司に行けるし、回転寿司でも十分美味しいお寿司が食べれるようになりました。

昭和からさらに時代を遡って、江戸時代はお寿司ってどんなだったのでしょう。

元々は関西の鮒寿司が「すし」でした。魚とご飯を樽に交互に入れて、半年から1年置いて熟成させると酸味が出ます。その発酵した酸っぱい、「酸し」が原型です。今は「寿司」「鮨」「鮓」などと表記しますね。江戸では文化文政頃(1800年頃)、深川の「松すし」や両国の「与兵衛鮨」が出来て、この頃に江戸前の握り寿司が出来たようです。

にぎり寿司の立ち位置は今の回転寿司に近いかもしれません。屋台で売られている、庶民の味でした。シャリは今よりも多く、1貫がおにぎりサイズ。2〜3貫食べたら満腹になりそうなくらい大きかったそうです。シャリが多いのはなんだかな〜って感じですが、魚はアジやコハダなどの近海の魚、もちろん採れたて江戸前!美味しかったんだろうな〜。港町で食べる魚介類は新鮮で美味しいですが、江戸ではそれが毎日食べられたわけですね。

握り寿司の屋台。
大通りの真ん中や十字路にはこうやって屋台を設置しても大丈夫だったそうです!
車の無い、のんびりした時代ですね。

ちなみに、現在一番人気のマグロの寿司は昭和の戦後からの話で、江戸時代には寿司としては食べられていませんでした。マグロは一番下等な安い魚とされていたようですが、普通のおかずとしては食べられていて、おかず番付には「マグロから汁」「マグロきじ焼き」などが載っています。当時は加熱調理して食べていた様です。どんな味だったのでしょうか。マグロは刺身じゃ無くても美味しいですからね。さらに、安くて庶民の味方。美味しそう。食べてみたい!

一口に寿司と言っても、色々あって、稲荷鮨や、鯖を背開きにして酢飯を詰めた鯖鮓、海苔巻き、コハダの鮓売りもいて、日本人は粗食と言われていますが、意外と豊かな食生活を送っていました。

遊郭について〜その6〜岡場所

吉原遊廓は政府公認の遊郭でした。しかし吉原以外の政府非公認の遊里(売春街)も多数存在していました。風紀が乱れることから幕府が吉原1箇所に集めて取り締まろうとしたようですが、実際には幕府の取り締まりは緩く、各所に「岡場所」と言われる遊里が存在していました。この「岡」は非公認という意味で、「岡っ引き」の岡も同様で非公認だったそうです。

ちょっと話は外れますが、普段から庶民に対する幕府の取り締まりは緩かったようで、幕府から何か法度が出ても「三日ぐらい守っていればいい」なんて言う、「三日法度」なんて言葉がありました。

吉原について〜その5〜吉原のしきたり」で詳しく説明していますが、吉原は遊女に階級があり、しきたりも多く、何よりも高級なので庶民はなかなか通えない場所でした。そうなると、街中にある岡場所が繁盛します。一晩を四つに区切るなどして多くの客を取っていたようです。枕代は五十文や百文で、現代だと数千円といったところでしょうか。吉原だと数十万は掛かりますから、庶民でもかなり気楽に通えた場所なのでしょう。

最盛期には200ヶ所、数千の遊女がいました。深川と、品川、新宿、板橋、千住の四宿が代表的ですが、四宿は江戸市外なので、江戸市中では深川が一番繁盛し、吉原のライバル的な存在でした。深川には10ヶ所点在して岡場所があり、宴会も開かれ、深川芸者(辰巳芸者)が有名になりました。(深川芸者については吉原芸者VS柳橋辰己芸者→深川芸者 をご覧ください。)

「深川樓」鈴木春重 江戸時代・18世紀 中判 錦絵
二人が遊女なのかちょっと分かりませんが深川の宴会に出向く美女。
宴会をしている男が障子の穴から覗いているのが、
この後の展開を暗示しているようです。
右の女性だけ草履を履いているのは何故でしょう??日本人だよね〜。
と思ったら、吉原でも花魁は室内用の草履を履いたそうです。
スリッパみたいな感じですね。ファッション的な意味でしょうか。

その他に、寺社地内は町奉行の取り締まり外になるので大きな寺社の門前水茶屋には遊女がいました。バチ当たりだな〜、と思いますが、寺と神社が同じ敷地にあるし、さらに門前に水茶屋があって、江戸の人って、、、。幕末に日本を訪れた外国人が日本は性に奔放だ、と言っていましたが、性がタブー視されるようになったのは明治以降にキリスト教的(西洋的)な考えが普及してからなので、本当、艶っぽい話題には事欠きません。

『実見録画』より「長家女郎に船饅頭」長谷川深造 幕末期 
長家女郎は下級の遊女のこと。岡場所は長屋風の作り。
昔の時代劇にあるように、「お兄さんちょっと寄って行きなさいよ」と声をかけていました。
船饅頭は船で客を取る遊女。
この絵では一つの船にたくさん遊女を乗せて、客が待っている船に出向く時の様子。
遊女の船に客を呼ぶこともある。
川と水路が張り巡らされた江戸で船は重要な乗り物ですが、こんな所でも活躍。

寛政年間には53ヶ所、天保年間には28ヶ所の岡場所がありましたが、寛政と天保の改革で厳しく取締りがあり、遊女は吉原に引き渡されて市内の岡場所はなくなりました。

岡場所以外に、街角で立って客を呼ぶ「夜鷹」や船に客を呼ぶ「船饅頭」、尼(比丘尼)の格好をした「比丘尼」(そのままの呼び名ですが、、、)などの私娼も多くいました。

熈代勝覧

「熈代勝覧」複製絵巻を見に行ってきました文化2年(1805年)神田今川橋から日本橋までのおよそ七町(760m)を描いた絵巻物です。ベルリン国立アジア美術館収蔵の作品ですが、東京メトロ銀座線、半蔵門線「三越前」駅、地下コンコース内に約1.4倍に拡大した複製画を展示しています。

東京メトロ銀座線、半蔵門線「三越前」駅 地下コンコース内
(日本橋三越本店本館 地下中央口付近)
全体サイズ 長さ16.8m×幅1.53m原画(長さ12.3m、幅0.43m)の絵画部分(長さ10.55m)を約1.4倍に拡大
地下通路ですので誰でも気軽に見れます。

こちらは洛中洛外図のように詳細に江戸の様子が描かれています。作者は不明ですが、浮世絵師のタッチなので、当時の有名な浮世絵師の作品のようです。浮世絵と言ってもパースも比較的しっかりとしていて人物描写も漫画のようで現代人でも見易いです。

画質が悪く見にくくて申し訳ないです(>_<)
地上に上がると現在の日本橋なので、是非見に行ってみてください。

文化2年当時の1軒1軒の商店の様子や、さまざまな仕事をしている職人、町人、武士、屋台、ボテ振り、籠屋などなど、犬もたくさん描かれ、江戸の繁栄期の歴史的資料としての価値とともに、風景は精密に、人物は一人一人が生き生きと描かれていて絵画としても素晴らしい作品です。

江戸は女性が男性の半分しかいなかったそうですが、こちらの絵画も圧倒的に男性が多いですね。大勢の人が集まり、日本橋のたもとの魚河岸はラッシュ並みの混雑です。これは喧嘩も起こるかも、ってしっかり喧嘩してる男の人も描かれています。

小学館から熈代勝覧の本が出版されています。
詳しく説明されているので鑑賞用としても楽しいですし、
江戸文化を簡単に学ぶことも出来ます。

『熈代勝覧』の日本橋 (アートセレクション) [ 小澤 弘 ]

価格:2,090円
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感想(5件)

表通りの2階建ての瓦屋根の商店がズラっと並んだ街並みはきっと美しかったんだろうな〜と想像します。現在川越にも明治時代の建物ではありますが、蔵造の街並みが残っていますが、駅からだんだんと近いてビルの先に蔵造の建物が見えてくると、良い意味での違和感があり、ワクワクします。元々はそのような風景が江戸の町だった訳ですね。

ヨーロッパの古い街並みで、同じ色の壁と屋根の、お伽話に出てくるような可愛らしく美しい街が残っておますが、それと同じように、江戸も美しかったに違いないと思います。

こちらの作品は「熈代勝覧 天」とあるので、「地」もしくは「地・人」と、2巻ないしは3巻の作品だと思われていますが、残念ながらまだ発見されていません。ドイツでこの作品が見つかった時も始めは中国美術だと誤解されたそうなので、ヨーロッパにあった場合、よくわからない絵画としてどこかの個人宅の倉庫に眠っているかもしれませんね。でも日本にあったら空襲などで焼けてしまった可能性もあるので、ヨーロッパにあったほうが、見つかる可能性は高いような気がします。

川越情報〜グルメ情報〜

先日川越の老舗鰻屋「東屋」さんに行ってきました。以前テレビでも紹介されていた、川越の有名店です。明治元年(1868年)創業。現在の建物は大正時代に建てられたそうで、お庭もあり、昔懐かしいような、落ち着いた佇まい。

個室ですっかり和んでしまいました。ちょっと奥の部屋だったようですが、窓から覗けるお庭の緑が美しく、子供の頃住んでいた縁側のある古い家を思い出して郷愁に浸ってしまいました。

肝心の料理です。うな重の上を頼んだのですが、タレが甘すぎず、うなぎの味も感じられて、美味しく頂きました。今まで、うなぎはタレで食べる、とか思っていたのは間違えでした、、、。甘すぎないお陰で、最後まで飽きずに食べられるし、また食べたくなる味でした!

今回はランチだったこともあり、お酒は抜きだったので、個室の良い雰囲気で、二人で一万円弱、というのはコスパ良いです!大満足のランチでした!!喜多院の参道からちょこっと入ったところで、観光にも便利です。ちなみに予約必須です。この日も全て予約で埋まっていたらしく、予約無しのお客さんは断っていました。

もう一件ご紹介します。ちょっと前、秋に行ったのですが、HATSUNEYA GARDENのcaféです。150年前にできた料亭がレストランとcafeになっています。時の鐘からすぐそばの人気店で行列が出来てました。趣があっておしゃれ。レストランはフレンチに和風テイストをアクセントにしているそうで、結婚式もできるようですね。素敵。こちらのレストランは未経験ですが、caféは落ち着く空間でした。老舗って言うよりも、クラシックでおしゃれ。そんなcaféが川越にもあるんですね〜。テラス席もありますが室内も天井が高くて開放的です。

娘が抹茶ティラミスとりんごジュース、
私はほうじ茶ティラミスと洋梨のソーダ注文しました。
美味しかった~!至福の時です!

メニューは変更されているかもしれませんのでHPからご確認ください

HATSUNEYA GARDEN café

https://hatsuneya.jp/cafe

鬼滅の刃〜全集中展〜

昨日、銀座松屋で開催中の、鬼滅の刃『全集中展』に行ってきました!あいにく肌寒い雨でしたけれど、チケット完売で、大盛況でした。

なんと人生で初めてアニメのイベントに行きました。今まで、アニメ関係ではアンパンマンの原画展しか行ったことがなかったです。ちなみにこの時はやなせたかし氏もいらしてました。25年も前の話ですが、、、。

全集中展の話に戻ります。アニメの展覧会ってどんなのだろう、と期待半分、不安半分で行きましたが、思ったよりも見応えがあって面白かったです。「無限列車編」と「遊郭編」のパネル展示と絵コンテ、絵コンテと組み合わせた動画上映など、ここでしか見られない展示でした。写真もたくさん撮ってしまい、楽しんじゃいました!

エントランス
エントランス隣では煉獄さんが「うまいうまい」言ってます
無限列車編のパネル展示
乗って写真が撮れます
鬼滅屏風
遊郭編のイラスト
ムキムキネズミが覗けます
堕姫のパネル。帯が天井に伸びています
キメツ学園のパネル。一緒に写真取れます

一番よかったのは手書きで描かれた絵コンテの絵と、作画担当のスタッフが描いたイラストですね。なかなか見られない制作者の作品が見られて面白かったです!ちなみにそちらは写真撮影NGなのでご紹介出来ず残念です。

刀鍛冶の里編の予告映像が流れていました。楽しみです!