吉原の日常を江戸時代の読み本から覗いてみる〜『塵塚談』

吉原の日常を江戸時代の読み本から覗いてみる〜『塵塚談』

江戸時代に実在した吉原遊郭の様子を江戸時代の小川顕道著塵塚談』からのぞいてみたいと思います。『塵塚談』は文化11年(1814年)小川顕道78歳の時に書かれた読み本で、江戸の庶民の普通の暮らしが書かれています。小川顕道は医者なので病気の話が多いですが、それ以外にも食のこと、物売りや商店のことなど日常のちょっとした事を記しています。江戸の人達の普通の日常が垣間見れる著書です。その中から吉原について取り上げてみたいと思います。吉原に関しては昔は良かった、と言った感じで語られているのがちょっと面白いです。(現代口語にして補足も入れています。)

吉原大門・歌川国貞(三代豊国)筆 江戸時代・19世紀 横大判 錦絵
出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

吉原遊女衣服のこと


延享年間(1744〜1748年)や寛延年間(1748〜1751年)の頃の遊女は(多分上位の遊女のことだと思われます)紗織、縮緬、羽二重を来て(吉原)道中に出た。そのほかたくさんの衣服を持ち、毎日取り替え、同じ衣類は決して着ないタバコを禿(かむろ=遊女見習いで花魁の身の回りの世話などをする少女)に数多く持たせて、茶屋にて一服すると残りはそのまま茶屋に置いて行く。立ち寄る茶屋毎に同じようにするので、茶屋がタバコを買う必要はなかった。
しかし、ここ三四十年は美しいけれど毎日同じ着物を着ている。タバコも人にあげることもしなくなってしまった。

張見世にいる遊女とそれを見る客。吉原は観光地でもあったので、見物客も多かった。中村宣夫CG作品

吉原、銭屋嘉兵衛が話

吉原茶屋に銭屋嘉兵衛という知人がいる。この嘉兵衛の実父が二丁目信濃屋という遊女屋で働いていた。嘉兵衛が5〜6歳の頃、客の前に連れて行かれ、小謡を二つ三つ歌うと小判1両づつ貰うことが数回あった。嘉兵衛の実父が掃除当番の時に朝、2階(遊郭の2階に遊女の部屋があり、そこで宴会をしたり客を取ったりします)を掃除すると1歩2歩づつは、いつも拾っていた近年はこのような事は無くなってしまった。(1歩はお金の単位。4歩で1両。1両は大金ですが現在の価値で言うと、、、かなり難しい問題のようなので詳しく知りたい方はこちらのサイトを見てください。貨幣博物館HP『江戸時代の1両は今のいくら? ―昔のお金の現在価値―』すごくわかりやすく説明してくれます。)

遊郭の2階で芸者を呼んで宴会中。中村宣夫CG作品

吉原の遊女、張りありしこと

京都の遊女に長崎の衣装を着せ、江戸の気っぷを持たせ、大阪の揚げ屋(高級遊郭)で遊びたい、とは昔のこと(井原西鶴の『好色一代男』にある文)。吉原の遊女に限っては金銀では動かない。仙台藩主伊達綱宗が吉原の大店「三浦屋」の花魁・高尾を身請けしたが、高尾には将来を約束した男がいた。その男への操を立て綱宗に従わなかったため、浅草川三派(みつまた)で船中で斬られて亡くなった事は万人の知るところだ。(高尾は三浦屋の有名な遊女。十一代まで続いた。この逸話の高尾は初代もしくは二代目)

また、豊後節(ぶんごぶし=京都で生まれ江戸で大流行した浄瑠璃。)の文字太夫という男がいた。書が上手く名筆で芝居にも出て、贔屓の客もたくさんいた。ある時、吉原に人を連れて(高級遊郭が並ぶ)上通りの遊女を買った我が物顔で居たが、遊女が文字太夫だと気が付き、金子(きんす=お金のこと)千疋(ちむら=布で巻いた沢山のお金)を台に乗せ、ゆっくり遊んで行ってください、と禿に持たせ、花魁は現れず肴をご馳走した。流石の有名な浄瑠璃語りも赤面し立ち帰った。上通りの遊女屋(高級遊郭)は歌舞伎役者には遊女を売らない定めになっていた。また、何節によらず(当時色々な流派の浄瑠璃がありました。どの流派によらずという事)芝居に出る有名な浄瑠璃語りを呼ぶには金2両2分が定価、三味線引きは別料金だったので、その代金として千疋(たくさんのお金)を差し出した。このように吉原の遊女は意地が強かったが、現在は金銭を使うのを上客とするようだ。

吉原遊郭の花魁はプライドが高く気っぷが良い。中村宣夫CG作品

本の冒頭部分には、「その時々の風俗を書き連ねているけれども、流行するものは長く流行らず跡形も無くなり水の泡のようであるのは世の常だ」と書かれています。200年前に生きた小川顕道も現代の私たちと見ているものは違うけれど、同じ様に感じながら日々生活していたのだと思います。

参考文献 『塵塚談 俗事百工起源』(小川顕道・宮川政運著 神郡周解説)現代思潮社

吉原のはなしはこちらから
遊郭の成り立ち、構造から花魁の生活、そこで働く人などなどCGと共に紹介します。

CGで再現された日本橋絵巻「熈代勝覧」を動画にしました

CGで再現された日本橋絵巻「熈代勝覧」を動画にしました

今回は歴史CG作家中村宣夫が制作した『熈代勝覧』をご紹介します。

作品はとても広範囲なので一部を動画にしてみました!全てお見せできないのが残念です。

熈代勝覧』に描かれている日本橋通りの7町分の商店と、裏通りや裏長屋まで、広範囲にわたる作品です。屋根瓦や看板などまで1つづつ細部に渡り精巧に制作しています。この作品を見ると江戸の町は美しかったのだろうなと、改めて思います。

神田今川橋をスタートします。富士山も見えますね!
江戸のメインストリート日本橋通りには大店がずらりと並んでいます。
辻の両側に大きな店構えの越後屋(現在の三越)が見えます。
大工さんが新築工事中!
日本橋です。日本橋川の両岸には多くの蔵が並んでいます。
日本橋が「熈代勝覧」の終点です

現在放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう」蔦屋重三郎の話ですが、彼は1750~1797年に生きていました。『熈代勝覧』は1805年に描かれているので蔦屋重三郎の死後5年ほど経った頃の作品です。当時は5年10年で街が激変することはありませんから、こんな景色の江戸の町で生活し、多くの作品を世に出して行ったのだろうなと思いを巡らせます。

多くの屋台や物売りが商売をしていました。
自身番と木戸番。ここから日本橋通りの始まりです。

江戸時代の日本橋絵巻「熈代勝覧」

熈代勝覧』について詳しくはこちらのページから。東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅、地下コンコース内にレプリカが展示されています。日本橋通りが丁寧に描かれていて、日本橋の賑わいや人々の生活の様子もわかります。日本画ですがとても見易く、楽しい作品なので是非ご覧ください。無料です。

歴史CG作家中村宣夫HP
たくさん作品をご覧になりたい方はこちらから。
江戸城、日本橋、長屋、吉原などなどご覧いただけます。

木々康子著「春画と印象派〜”春画を売った国賊”林忠正をめぐって」

木々康子著「春画と印象派〜”春画を売った国賊”林忠正をめぐって」

木々康子著「春画と印象派〜”春画を売った国賊”林忠正をめぐって」を読みました。林忠正は筆者の義祖父に当たるそうで、明治時代にパリで日本画を広めた画商です。

印象派の画家達が日本の浮世絵に多大な影響を受け、ヨーロッパの美術界が激変したことを知る人は多いですが、その陰に林忠正(はやしただまさ)という美術商(当時は美術商という言葉は無く、「骨董屋」です)がいたことはあまり知られていません。なぜなら、国の恥ずべき絵画=春画をヨーロッパに持ち出し売った、「国賊」とされていたからです。

「春画と印象派」2015年 筑摩書房

今回読んだ「春画と印象派」では林忠正が「北斎漫画」や「富嶽三十六景」などの有名な浮世絵とともに春画も大量にヨーロッパに輸出し、それが印象派の画家たちに多大な影響を与えた事が書かれています。印象派の画家達は、北斎や歌麿らが描いた春画を見ています。そして春画などの浮世絵を求めるときは林忠正を訪ねました。

当時西洋画で裸の女性を描くときは必ず女神や聖女など、神格化された人でないと描けませんでした。普通の女性の裸体を描くのはいけないことだったのです。ですが、普通の男女や普通の夫婦を描いた春画の影響を受け、マネが「草上の昼食」で普通の女性が裸体でいるシーンを描きました。洋服を着ている男性の横で全裸の女性がいるのは不思議な構図でよく分からないな、と常々思っていましたが、これは西洋の戒律を破る革新的な絵画だったのですね。まあ、全裸の女性にきちっとしたスーツの男性を描くより、春画の方がよほど自然だとは思いますが、、、。

春画の本も沢山出版されています。現在は無修正で出版可能になりました。版画ではなく肉筆の春画もあります。肉筆はさらに美しいです。

また、ヨーロッパはキリスト教の国で戒律が厳しく、特に女性は男性にとって性欲を掻き立てる「」とされていたため、抑圧されていたのに対し、日本の女性の方が自由であり、性=悪ではなかった。そのため春画が描かれ生の喜びが描かれました。(きっとキリスト教圏では悪魔との交わりになってしまったのでしょう、、、。)また、現代は日本と比べてヨーロッパの女性の方が社会的地位が高い人の割合が多いのは、歴史的に抑圧されていた反動からフェミニズム運動が起こり、女性自らの手で地位を獲得した結果です。対して日本の女性は昔から精神的に抑圧されていなかったため、大きなフェミニズム運動が起きにくい、という背景があるということをこの本で学ばせていただきました。

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日本人が浮世絵の価値を理解でなかったために世界に散逸してしまいましたが、林忠正のおかげで世界で日本画と浮世絵が保護されていたのだと思うと林忠正と諸国のジャポニズムコレクターに感謝しか有りません。また、林忠正は数々の日本画とともに膨大な印象派のコレクションもあり、日本で美術館を開きたかったようですが、残念ながらそれが実現することはありませんでした。当時の明治政府の理解が全く得られなかったからです。残念ではありますが、理解を得られない日本に持って帰って来なくて正解だったのかもしれません。

パリ万博でも貢献し、日本美術の素晴らしさを世界に広めたにも関わらず、「国賊」として長らく歴史の闇に葬られていた林忠正の功績はもっと知られるべきだと思います。さらに現在でも春画を展示するのは大変なようで、先日の吉原展でも展示されず、未だ春画の価値が認められないのでしょうか?

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印象派の作家達の時代背景と春画から受けた影響など書かれていて勉強になりました。林忠正は日本の芸術を世界に広め、日本人で初めて世界を相手にビジネスを行った一人であることは間違い有りません。

この本で改めて林忠正の功績を学ぶことができましたが、私が林忠正を知るきっかけになったのは原田マハ著「たゆたえども沈まず」。この小説はゴッホを主役とした話ですが、林忠正との交流が描かれています。こちらは小説ですので、どこまで史実かは不明ですが、あの時代に芸術の中心地パリで活躍した日本人がいるんだ、と衝撃でした。ゴッホの苦悩の人生も書かれているのでおすすめの一冊です。

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【モニターツアー】江戸東京ツアーに参加 其の二・皇居〜深川江戸資料館

【モニターツアー】江戸東京ツアーに参加 其の二・皇居〜深川江戸資料館

江戸・東京の魅力を活用した観光周遊モニターツアー」に参加してきました!東京都の令和6年度事業として企画されたツアーで、江戸から続く東京の歴史文化を東京の魅力の一つとして観光資源に活用するためのモニターツアーです。こちらは事業者向けツアーです。

大手門を入って三の丸尚蔵館の前を通っていくと同心番所があります

本日は「江戸文化和体験!タイムトラベラーと巡る江戸城と下町コース」です。こちらは皇居東御苑と深川を周るツアーでガイド=タイムトラベラーの方が説明をして下さいます。

百人番所

皇居はいつ行っても広〜くて綺麗ですね。観光客の方もたくさんいました。
江戸城大名登城コース」で大手門から入って天守台までのコースで巡ります。「江戸東京ガイドの会」の方が案内して下さいました。皇居には石垣と一部の櫓と天守台しか残っていないのでガイドの方がいないと、江戸城跡だということは分からないかもしれません。

富士見櫓

この大名登城コースは去年江戸時空で制作したVR動画と同じコースでした。是非動画でご覧いただき、実際に皇居に行き、ああ〜ここなんだ〜と見て欲しいです。

江戸時空江戸城御殿 YOUTUBE :御殿内部を精密に再現しています!VR動画でご覧ください。

天守台。近くに行くと大きさを実感します。

御殿の跡は広場になっていますが、そこでARアプリ「よみがえる江戸城天守」を使用すると天守台に合わせて天守が出現します!それをバックに記念撮影も!

こんな感じでスマホで江戸城天守が出現!
こちらのCGは中村の作品ではありません

ガイドツアーは修学旅行以来数十年ぶりなのですが、現在はガイドの方がマイクで話し、イヤホンで聴くのでとても聴きやすかったです。特に皇居のような広い屋外だと、説明を聴きたくても話が聞き取りづらく、結局分からなかったなんで事が多々ありましたが、他のツアーの方とチャンネルも違うので話が混ざることもなく、ガイドの良さが発揮されました!これは良い!!

天守台の上から見た東京

江戸東京ガイドの会公式HP:東京を江戸文化を交えてガイドしてくれます。皇居だけでなく、東京駅〜丸の内、神楽坂、品川宿、深川、日本橋〜人形町など。日本語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、中国語に対応可。

寛永時代 長谷川越後守が寄贈した擬宝珠。こういう発見はガイドさんがいないとなかなか難しい!

皇居の後はバスで深川に移動です。「漫画家学会」の方たちが紙芝居とお芝居を混ぜて江戸の文化を楽しく紹介してくれます。駄菓子をもらって、懐かしい紙芝居体験です。クイズを交えて江戸文化を紹介してくれます。江戸というか昭和レトロ?私にとっての紙芝居は、図書館で借りてきて子供達に読み聞かせた思い出です。一話読むと結構疲れる!でも子供は大喜びですね。プロのパフォーマンス付きだともっと盛り上がります!

漫画家学会公式HP:国内外で活躍している方々です!親しみやすい絵と紙芝居師さんのパフォーマンスで盛り上がります!子供から大人まで楽しめる、新しいアプローチの紙芝居。デジタル紙芝居もあるそうです!

その後は深川江戸資料館に移動し、こちらでもガイドの方が説明をして下さいました。今回3回目なのですが、ボランティアガイドの方が細かいところまで説明してくださるので勉強になりました。

深川の町を再現。コンパクトですが、凄いです!
裏長屋。1件づつ住人の職業が違います

江戸の文化を知りたい人にはイチオシです!!この資料館を参考にCG制作しています!1件1件そこに住んでいた人をきちんと設定して、それに合わせた生活道具まで再現しています。江戸っ子が今にも帰ってきそう。

表通り。大店が並びます
内部も細かいところまで再現しています
裏長屋の井戸。小さいお稲荷さんまであります。
八百屋さん
長屋の内部。ここは三味線や小唄の師匠でしょうか。タンスがあるのでちょっと裕福。

江戸時空 長屋編 YOUTUBE:裏長屋を精密に再現しています!VR動画でご覧ください。深川江戸資料館もたくさん参考にさせて頂きました!

江戸時空 日本橋編 YOUTUBE:日本橋を精密に再現しています!VR動画でご覧ください。

深川江戸資料館公式HP:江戸の庶民の文化を知るにはここが一押しです!江戸の町並みで伝統芸能のイベントもやってます。次回はイベントに合わせて行きたいです。

次にバスで移動して深川不動尊護摩祈祷を体験しました!深川不動尊は初めてです。まさか最後に護摩祈祷もしてもらえると思っていなかったのでラッキ〜!深川不動尊の護摩祈祷は大太鼓が4基もあり、法螺貝も加わって壮大な音楽のようでした。大迫力で、太鼓の音が厄を吹き飛ばしてくれそうです。私物もお祓いしてもらえるというのでお願いしました。

参道には美味しそうなお店も!!
祈祷中、撮影禁止のため、詳しくはHPをご覧ください

深川不動尊公式HP : 大本山成田山新勝寺の東京別院です。門前仲町の駅を出ると参道です。毎日護摩祈祷が行われています。そのほか修行体験なんかもあるみたいです!写仏とかやってみたい、、、。

東京出身なので東京観光は小学校の社会科見学以来でしたが、一度ちゃんと東京観光してみたいな、と思っていたので、2日間東京でいつもと違った体験ができて楽しかったです。護摩祈祷もあり、心洗われてツアー終了しました。

江戸城を蘇らせる:3DCGで見る幻の天守と御殿〜Tokyo’s Hidden Castle: Edo Castle Brought Back in 3DCG

江戸城を蘇らせる:3DCGで見る幻の天守と御殿〜Tokyo’s Hidden Castle: Edo Castle Brought Back in 3DCG

歴史に詳しくない、私のような人は「江戸城どこにあるの??」と思う方も多いのではないでしょうか。私は東京出身なのですが、若い頃は東京に城があったの??っていう感じでした。東京の中心にあるのは天皇陛下が住んでいる皇居でしょ、みたいな、、、。最近の若い人は知っているのかな。皇居は江戸城跡だという事を。「江戸城址公園」とかだったらわかりやすいですよね。名前が変わっちゃっているのが最大の原因だと思いますが、もし現在の皇居に江戸城がそのまま残っていたら東京の景色は違うものだったでしょう。

東京のど真ん中にあったら、、、。かっこいいな。

城と言えばそのシンボル「天守」が無いのも城感が無い要因の一つ。姫路城のように堂々と天守がそびえていると「城」って感じがします。江戸城の天守は徳川家康、秀忠、家光の頃に建てられましたが、明暦の大火で焼失し、江戸の復興を優先したため天守は再建されませんでした。再建の計画はされたようですが、泰平の世に天守は必要ないと判断した、当時の首脳陣は賢いですね。
そもそも「天守」は戦の時に必要なものです。遠くまで見渡す見張りの役割をし、そこから攻撃、籠城もできる。力を誇示し、領地の支配者のシンボルとなる。でも戦国の世が終わった江戸時代には必要ありません。もちろん建立には莫大な費用がかかりますから、江戸の庶民が大火で困っている時には単なる贅沢品にしかならない、という判断だったのでしょう。でも正直、今、天守があったら、東京の最大の観光地で経済効果もあっただろうな、と思います。見てみたい!もちろん日本最大で、高さ約45m、姫路城よりも10m以上大きかったそうです。

Kindle本 江戸城より

ちなみに、「天守閣」という言葉もあります。私もよく「天守閣」と言って、主人に「天守だよ」、と指摘されておりますが、正式名称は「天守」で、「天守閣」は俗称だそうです。豪華な建造物に「閣」という言葉をくっつけるそうで、庶民が「天守閣」と呼んだのが広まったそうです。

また、城=天守ではありません。将軍が政務を行い、居住する、広大な「御殿」がありました。こちらが本来の城の役割です。今の国会議事堂と首相官邸と各省庁を兼ねた建物になります。江戸城にはこの御殿も残されていません、、、、。大名達と謁見する広間や執務を行う中奥、将軍の妻と子が住む大奥など、迷路のように広大な屋敷がありました。広大な御殿に慣れない大名は迷ってしまうので案内役もいました。

そんな江戸城を3DCGで再現しています。制作には約10年。初めは外観だけでしたが、現在は御殿内部まで製作しています。現存していたら是非みてみたい江戸城、残念ながら叶わないので是非CGでご覧ください。

Kindle本では歴代三つの天守と再建されなかった四つ目の天守、御殿の内部、将軍の生活、大奥の内部をHPよりもさらに高画質な3DCGでご覧いただけます。

Edo Castle once dominated Tokyo’s skyline. This article brings it back to life through detailed 3DCG reconstructions — from the keep to the palace and the streets of old Edo. A must-see for history buffs and anyone fascinated by Japan’s past.”

Kindle本  江戸城 歴史CG作家中村宣夫作品集

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寛永行幸を3DCG化〜その壱

寛永行幸って知ってますか?私は最近まで知りませんでした。かなりの歴史好きの人か日本美術オタクじゃないと知らないですよね。その「寛永行幸」を知ったきっかけは、夫に「寛永行幸が400年を迎える2026年に大々的にイベントをやりたいので、その一環として『寛永行幸』をCGで再現しませんか?」というお話を頂いたからです。江戸日本橋が舞台の絵巻「熈代勝覧」の再現CGを制作していたのでそのイメージで京都の町も作りたいと思って頂けたようです。ちなみに夫は寛永行幸のことは知っていました。さすが歴史オタク。

「寛永行幸」とは寛永3年(1626年)9月6日、天皇が徳川将軍の京都での居城二条城に行幸したことで、5日間にわたる一大行事となりました。招いた将軍は大御所徳川秀忠と三代将軍徳川家光です。招かれたのは後水尾天皇、中宮和子(ちゅうぐうまさこ)と天皇一族です。※「行幸」とは天皇の外出を敬っていう語

武家に対する行幸は豊臣秀吉の聚楽第行幸以来約40年ぶりで、天皇家と徳川家の親密さをアピールしました。二条城では贅を尽くしたもてなしがなされ、京都市中では長い戦国時代の後、平和を享受する民衆が行幸に歓喜しました。残念ながら翌年に幕府の朝廷支配を告げる「紫衣事件」が起こり朝廷と幕府との軋轢が起こり、蜜月は終わりを告げてしまいますが、、、。

こちらの本はとても分かりやすく、見やすく書かれていて非常に参考になりました!

この歴史的な行幸について多くの記録が残っているそうですが、文献は正直、素人には読めないし、やはり絵画が当時の様子を知るには一番です。その中でも六曲一双の屏風にその様子が描かれた作品「二条城行幸図屏風」は圧巻です。と言っても現物は京都にあるので気軽に見に行けない!なのでまた本で楽しみます。

寛永行幸を描いた屏風はいくつか残されていますが、泉屋博古館所蔵の「二条城行幸図屏風」は御所から中立売通を行き、堀川通を南下して二条城に入城するまでの様子が描かれています。当時の煌びやかな行列の様子や、民衆がこの行幸を楽しみにして桟敷席を作り、飲み食いしながら見物している様子が描かれており、お祭りのように楽しまれていたのが伝わってきます。

六曲一双の全体図。かなり良い良い状態で残されています。現物が見たい!

参考文献:『二条城行幸図屏風の世界 天皇と将軍華麗なるパレード 』泉屋博古館編集 発行:株式会社サビア 発売:論創社

【中古】二条城行幸図屏風の世界 天皇と将軍華麗なるパレ-ド /サビア/泉屋博古館(単行本)

価格:1448円
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その寛永行幸400年の節目となる2026年に、「平和」や「文化」を考える祭典「二条城・寛永行幸四百年祭」を、京都で開催します。祭りを盛り上げるべく、こちらの本を参考に現在CG製作中!流石にこれだけの広さがあると大変です。後日途中経過もご報告します!

https://livinghistory-kyoto.com

二条城・寛永行幸四百年祭のためのクラウドファンディングもやっています!

寛永行幸の制作過程はこちらからご覧ください
寛永行幸をcg化〜その弍〜二条城天守

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Kindle出版にチャレンジ・前編/Kindle Comic Creatorとpagesに格闘編

Kindle出版にチャレンジ・前編/Kindle Comic Creatorとpagesに格闘編

チャレンジって、この歳で(年齢は非公開ですが)チャレンジするってなかなか無いかも?(と世間的に思われるような年齢です)でも近年、停滞した自分自身の時間を動かすべく、色々取り合えず試してみようとしていて、新たなことに挑戦しています。
それはさておき、Kindle出版を始めようにも何をどうしたらいいのかも全く知らないド素人が、取りあえず出版できたよ、って話です。

前回の「Kindleで電子出版始めました!」に書いた、むうさんと渋谷さんに全て教えて頂いた結果です。
Kindle出版はAmazonのKindleダイレクトパブリッシングに作品をアップすれば良いのです。誰でも公序良俗に反しないものであれば出版出来ます。(厳しい規定は無いようですが100%出版可では無いかもしれないので詳しくは公式ページをご確認ください。一応審査はあるようです。)
まず必要なのは当然ですが「作品」ですね。何を出版するのか、その内容によって、本の作り方が変わってきます。小説やエッセーなど、基本的に文章のみの本はKindle Create、漫画や写真集など、図版が多いものはKindle Comic Creatorを使用すると簡単に作れます。こちらはAmazon Kindleの推奨ソフトで無料でダウンロード出来ます。

と、ここで素人の私はいきなり壁にぶち当たります。Kindle Comic Creatorがダウンロード出来ない!my PCはimacのM1チップなのですが、もしやM1チップに対応していないのか??ショック(泣)「Kindle Comic Creator v1.1 for Intel Mac (OSX 10.6 以降) 」ってかるけど、Intelじゃ無いとダメなの〜!?

ネットで調べたらMACにデフォルトで入っているpagesでも作れると出ていたので、pagesで作ってみました。
pagesも今年になって初めてちょっと使っただけでよく分からないけどやってみる。テンプレートから「ブック横」を選ぶと写真集が出来る設定になっているのでそちらを選びます。(文章メインの本は縦型を選びます。)

pageaのテンプレート。色々あるので自分が作りたい本に近い物を参考にしましょう。

白紙のページに江戸の写真を載せて作品名や説明を打ち込んでいくと簡単に本が出来上がります!おおお〜〜〜思ったより簡単!出来たデータをEPUB形式で書き出すと電子書籍の出来上がりです。書き出したデータをダブルクリックするとbook(こちらもmacに搭載されてるやつ)が開いて読むことができる!わ〜い!と思ったのですが、なんか違う。バランスとか、やっぱりちゃんとデザインしないとカッコ悪い。ということで一からやり直し。根本的に編集し直しです。

Apple Booksでプレジューできます


pagesは元々デザインソフトでは無いのでやっぱりキッチリ作るにはIllustratorやInDesignで作らないとですね。ということで一番使い慣れているIllustratorで全ページ編集し直し。Illustratorで作ってjpgで書き出します。そのjpgを貼っていけばいいんですね。ここで大切、渋谷さんからアドバイスを頂いたように、アートボードをピクセルで設定します。普段はmm設定ですからね。しっかり設定変えないと全部やり直しになってしまいます。ピクセルでタブレット画面のサイズにして編集開始。

Illustratorが一番慣れてるので、Illustrator触っているとホッとする。

英語訳を付けたかったのでほぼ文章は入れていないのですが、編集作業って意外と大変。TAPIRUSの渋谷さんは500ページ以上の本を出版されてて、尊敬です。本業じゃなくてサイドビジネスですからね、これ1日中やっても何日かかるんだろう、、、。900ページの本もあるそうです。果てしないな。デザイン900ページってことですからね、、、。

今回は50ページなので取り合えずIllustratorのデータはできた!jpgにもした!次にpagesもタブレットの書類サイズにしたいのですが、どこで変えるか分からず、ネットで調べました。「ファイル」メニューから「ページ設定」を選択すると「用紙サイズ」のポップアップメニューが出てきます。「カスタムサイズを管理」を選択するとサイズを入力できます。もっと簡単にサイズ変更できないもんかな〜とかブツブツ言いつつ、サイズを変更し、編集していきます。貼り付けるデータ自体はできているのでここは簡単。ペタペタドロップして貼れば良いだけ。EPUB形式で書き出してbookで見ると、おお〜出来てんじゃん!

取り合えず試しにKindleダイレクトパブリッシングにアップしてみよう!と思ったら今度はアップできない!エラーが、、、(泣く)。pagesのせいなのか??なんか、文章メインだと上手くいくけど、写真メインだと難しい、と失敗談がネットでも出ていたので、TAPIRUSの渋谷さんに頼って、違うソフトを教えていただきました。(もしかしたらpagesのエラーは単純なミスかも、、、。原因と思われるのは後編に)

漫画のEPUB3作成ツールでも作成できます。こちらもオンラインの無料ソフトです!すごい、そして意外と簡単。一気にjpgデータをアップロードしてプレビューしてみたら、おおお〜できてる!ただ、見開きの作品集を作りたかったので、それにはちょっと一手間必要なんですね。そのためのソフトがなんとダウンロードできない(泣)。この辺でちょっとメゲた。

もう一度pagesに戻ったけど、やはりダメで、Kindleダイレクトパブリッシングを読むとやはりKindle Comic Creator推奨。ダメ元でもう一度チャレンジしたら、なんと今度はダウンロードできた!!やった〜〜!って、この前なんでできなかったんだ??単に通信が悪かっただけか??ということでKindle Comic CreatorはmacのM1チップでも大丈夫でした。

長くなったので続きは後編に!

amazonにて販売中です!
Kindleで電子書籍出版始めました!

Kindleで電子書籍出版始めました!

Ukiyoe-3dimensionsシリーズとして中村宣夫作品集を出版致しました。第一弾は江戸城です。

家康、秀忠、家光の築いた三天守と建造されなかった四つめの天守。江戸城全景、将軍の生活、大名登城、役人、大奥の作品を集めました。是非Amazonにてご覧下さい!
今まで出版社の仕事をしていた割に、というか出版社と仕事をしていたせいか、自分達で本を出版する事を考えた事がありませんでした。なのに、なぜ今さら?
実は先月のイベント江戸時空に若い頃勤めていた会社のコピーライターの「むう」さんが遊びに来てくれました。私と同世代で子育てもしていた彼女は、今でもちゃんとコピーライターもしていて、ショートショートの編集もしてKindleで出版していました。すごい。静かな人なのにパワフル!そんな彼女が電子書籍出版を勧めてくれました。(おまけに舞台の台本も書いていた、、、刺激されます)

実は今まで紙での出版は考えたことがあったのですが、電子出版を考えた事が無かったので、結構衝撃でした。私的には本は紙が好きで漫画以外はほぼ紙の書籍。手元に残る感じも好きです。特に画集や専門書関係は、学生の頃からずっと残しています。断捨離してもこの辺だけは捨てられない、、、。
でも本は紙、という概念は古いですね。特に写真集や作品集はデジタルの方が気軽で綺麗かもしれません。印刷や紙によって色も作品の表情も変わりますから。元々デジタル作品ですしね。作品もネタもあるし、Kindleなら簡単に出来るよ、とむうさんにアドバイスを受けて、早速その気に。
Kindleで美術書を多く出版しているTAPIRUS出版の渋谷漠さんを紹介してもらって、初心者の私に色々教えてくれました!凄い良い方で、マヌケな私に色々アドバイスしてくれて、背中を押してもらいました(T ^ T)

むうさんも渋谷さんも執筆。
vol.11まで発売されてる人気ショートショートマガジンです。
Kindleで人気のアートブックをたくさん出版しているTAPIRUSさん

出版するための編集と電子書籍にした時のマヌケな顛末はまた次回。

江戸VRのイベントを準備中

江戸VRのイベントを準備中

中村の3DCGをVRにしたイベントを準備中です

おしゃれなカレッタ汐留のEJEVARを江戸の空間にします!

江戸時代の日本橋、裏長屋、吉原、そして江戸城御殿の内部をVRにしました。かなりクオリティの高い作品で、内容も濃く出来ていると思います。ナレーション付きで江戸をわかりやすく解説します。

その分制作に時間が掛かっておりまして、本当は春の予定が夏になり、秋も近づく頃やっと実現の目処が立ってきました。

初めて本格的なイベントの開催をするので「あれもこれもやりたい」と「あれもこれもやらなきゃ」とバタバタしております。V広報活動も初なので戸惑う事ばかりです。

でもサポートしてくださる皆様のお陰でどうにか近日中に開催のお知らせが出来そうです。

江戸の小紋集『小紋雅話』

江戸の小紋集『小紋雅話』

山東京伝作の「小紋雅話(こもんがわ)」という小紋の図案集のデータ化を試みました。

「小紋雅話」は寛政二年(1790年)蔦屋重三郎により出版された小紋模様見立絵本です。山東京伝の小紋集は好評だったようで、天明4年(1784年)「小紋栽ざい」、天明6年(1786年)「小紋新法」に続き3冊目に出版されたのがこの「小紋雅話」でした。

江戸の人は洒落好きだったので洒落の効いた風変わりな小紋です。実際にこの柄の着物が作られていたのかは分かりませんが手拭いや小物にするのは楽しそうです。

山東京伝(1761年〜1816年)は年齢的には葛飾北斎の1歳年下浮世絵、読本、絵本の全盛期に戯作者、浮世絵師として活躍しました。浮世絵師としての名は北尾政演。寛政の改革のため、小紋雅話が出版された翌年の寛政三年には洒落本が禁令を犯した罪で手鎖50日の処分を受けています。しかし、その後も蔦屋重三郎と組み、多くの作品を残しました。

小紋雅話』は江戸人の豊かな発想力と笑いを求める明るさ、大らかさが詰まった図案が156案描かれています。その図案を全てベクターデータ化しました。資料が古く鮮明では無いため、私の解釈でのデータとなりますのでご了承ください。順次illustACにて無料配布致しますので是非、風変わりな江戸小紋をお楽しみください。

『天竺にてはかんなクズを見て字を作し、オランダにては牛の涎を見て字をなす。唐の蒼頡(そうけつ)は鶏の足跡を見て、字を作りたると聞ゆ。われはまた犬の足跡を見て梅の花と見たて、書なるか、字なるか。いっこう分からざる物数十を作し、名付けて小紋雅話という。これももんがぁの類いにして、いずれ怪しかるべし。』〜小紋雅話叙

参考資料:「滑稽本集」日本名著全集刊行会刊

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