CG制作の裏話(?)小江戸川越

古い街並みを制作するのに参考になるのは当然古い街並みです。

川越に住んでおりますので、素材が身近にあるのはラッキー!というか歴史のある街だから引越して来た、というか。いくら綺麗で整備されていても、新しい家や店ばかり並んでいるのはどうも落ち着かないのです。ごちゃごちゃしていても昔からの人の営みを感じられる文化のある土地が好き。

川越に引越してかなり経ちますけれども、以前は浅草に住んでいました。浅草、大好きで、今でも時々浅草に行きたくなります。でも、浅草と同じくらい川越も好き。なんといっても江戸より古い歴史があり、当時の物が残されているのは最大の魅力です。残念ながら浅草は東京大空襲で焼け野原になってしまったので、古い建造物が遺されているは浅草神社の社殿くらいでしょうか、、、。

蔵造りの街並み

川越のメインストリート、有名な明治時代の蔵作りの商店が並ぶ街並みは壮観です。ちょっと裏道に入っても古い醤油蔵があったりと、歴史と文化が残されています。(ご近所でミニ観光ができるのも楽しい)日本建築だけで無く、かわいい洋館も味わい深いです。

メインストリートから数分歩いたところ、平安時代に創建された喜多院には江戸城の一部が移築されています。あまり知られていないのでは無いかと思いますが、ここでは本物の江戸城紅葉山にあった「徳川家光公 誕生の間」「春日局化粧の間」が見ることができます。皇居に行っても見れないのに、、、。江戸好きの人には是非ぜひ、喜多院に来て本物を観て欲しいです!さすが小江戸です。

また、川越城は嘉永元年(1848年)に建てられた本丸御殿の玄関・大広間・家老詰所が残っています。どこぞのコンクリートで再建された天守閣よりも余程、当時の城の規模や風格が伝わります。喜多院もそうですが、本物の廊下の広さとか木の太さとか板戸の大きさとか、やはり本物観ないと分からないことは多いですよね。

先日行ったときは、緊急事態も終わって、蔵造りの街は混んできましたが、喜多院や本丸御殿は比較的空いていました。もったいない!本当に見て欲しい。食べ歩きも楽しいけどね。

埼玉県指定文化財 川越城本丸御殿 (東日本唯一の本丸御殿遺構)
本丸御殿内部の廊下

こういった建造物は本物の質感、空気感も含めて全てCGの素材になります。また有名な重要文化財だけでなく、古い木造の民家なども多く残っているので、川越に越してきた頃は、あちこちに残る素材集めのために川越を奔走していました。ということで、江戸時代のCG作品には密かに川越の町が含まれているのです。

3DCGで江戸橋から望む日本橋と江戸城

3DCGで江戸橋から望む日本橋と江戸城

こちらのCGは江戸橋から見た日本橋です。その奥の橋は一石橋。
橋のさらに奥には江戸城が見えます。
日本橋を右に行くと越後屋(現在の三越百貨店)、左に行くと銀座方面です。
江戸城の背後には富士山が望めますね。富士山バックの江戸城なんて、当時は美しい風景が見られたのでしょう。残念ながら現在の日本橋からは高速道路と銀座のビル群しか見えません、、、。
美しい木造の日本橋。当時の大工さんの技術の高さがうかがえますね。江戸東京博物館で実物大で再現展示されていますが、これが東京のど真ん中に掛っている姿を見てみたいものです。
日本橋は五街道の起点で、ここから東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道が伸びていました。
現在も東京の中心ですが、5つもの街道の始まる場所ですから、そりゃあ、経済的に発展するのも当然です。常に賑わい、江戸っ子の誇りでもありました。

江戸城の天守風に見えるのは実は現存する富士見櫓です。この作品は1800年頃の江戸の様子なので天守は存在せず、富士見櫓がその代わりを果たしていました。ちなみに、天守がかつてあった場所は、もう少し右側、日本橋の右のたもとを上に見上げた辺りだったそうです。
巨大な天守は壮大で威厳があって、徳川の力の象徴でした。