銭湯の歴史

最近、また銭湯が見直されてきました。各家庭の内風呂が普及した昭和40年代から銭湯は徐々に減少してピーク時の1/10にまで減ってしまったようですが、若者が行きやすい造りにしたり経営を工夫したりとまた銭湯が注目されています。スーパー銭湯や温泉は相変わらずの人気ですし、ただ単に汚れを落とすだけではなくて、日本人にとって『銭湯』や『公衆浴場』は大切な一つの文化なのだと実感します。数年前になりますが、都内の子供の頃に通っていた銭湯(家に内風呂があったのですが、時々行っていました)の前を通ったら破風造りの入り口が残っていて、感動しました。その時は残念ながら時間が無く、写真を撮って帰ってきただけなのですが、今度入りに行こう!と思って調べたら、もう無くなっていたようです、、、。ショック(泣)。

そんな大好きなお風呂屋さんの歴史についてです。

日本の大衆浴場の起源は奈良時代、奈良の大きな寺院です。僧侶は修行の一環として心身を清めるために沐浴をします。大勢の僧侶を抱える大寺院では僧侶たちが一度に入れる大きな浴場が必要となり、寺院の一角に大浴場を設置したのが始まりと言われています。それが中小寺院にも広まり、さらに僧侶以外の一般の人々にも開放され、それが銭湯となり、庶民に大衆浴場の文化ができました。

江戸の湯屋の始まりについては三浦浄心の『そぞろ物語』(寛永18年=1641年)に、天正19年(1591年)伊勢與一という人が銭瓶橋(ぜにかめばし)のほとりに風呂を立てた、との記載があります。現在、銭瓶橋は現在無くなってしまいましたが、日本橋の辺りにありました。全国から江戸城築城の建材が日本橋川を上って運ばれ、銭瓶橋周辺で陸揚げされたので周囲には町屋敷や商店、遊女屋も出来、多くの人々で賑わっていました。一仕事終えた人々が風呂に入りたくなるのは人情。ここに風呂屋ができたのは当然のことだったのでしょう。この湯屋、風呂の中は「息がつまる」「目も開けられない」と記されているので、蒸し風呂だったようです。風呂代は永楽一銭(永楽銭は寛永通宝が作られる以前、明より輸入した通貨)と記されています。

元々湯屋は混浴でしたが、寛政3年(1791年)寛政の改革で混浴禁止令が発令されたので、文化文政期の湯屋は男湯女湯に分かれています。男女二つの浴槽を持つことが出来ない小さい湯屋では昼間は女湯に、夜からは男湯にと時間で分ける湯屋や、女湯専門、男湯専門の湯屋もありました。また近くの湯屋同士で相談し、女湯にする日を決めるなど工夫して営業していました。

でもきっちり男女で分かれているのは江戸市中ばかり。江戸市中を出ると「入り込み湯」といって混浴の湯屋がほとんどでした。また、大坂では湯船だけ男女に分かれていて、入り口から洗い場までは男女一緒の湯屋もありました。

CGでは江戸時代後期の湯屋を再現していますが、この時代に現在の銭湯の原型がほぼ出来上がっています。

江戸時代の湯屋についてkindle版「浮世風呂」に美しい高画質3DCGとともに詳しく紹介しています。

第二弾Kindle出版「浮世風呂」出版しました

やっと第二弾のKindle電子書籍「浮世風呂」出版いたしました。

前回から半年掛かってしまいましたが、今回は江戸時代後期のお風呂屋さん「湯屋」のCGに詳しい解説を添えております。ということでこちらの解説を書き、編集をするのに時間が掛かりました。第一弾の「江戸城」はCGを写真集のように見て頂ければ良いのではないかと思い、文章は極力減らしたのですが、やはり、作品を楽しんでいただくためにも解説は必要、という事で、今回は頑張りました。

日本人は風呂、銭湯、温泉が大好きです。そのルーツ、江戸時代後期の銭湯を精密に製作した3DCGと解説で、当時の湯屋の様子が分かる1冊になっています。江戸の湯屋は単に体を清潔に保つためだけではなく、人々の交流の場、癒しの場で、大切な江戸文化の一つでした。また、歴史CG作家 中村宣夫は25年以上、江戸の町を作り続けていますが、その原点は湯屋です。式亭三馬の「浮世風呂」の世界を再現したCGが初めての作品です。CG作品が江戸の町へと広がる始まりの作品をご覧ください。

目次

銭湯だけでなく、江戸時代の内風呂や将軍の風呂、遊郭の風呂まで掲載しております。是非ご覧ください。

編集後記・・・半年ぶりの出版なので、電子書籍化するのも若干忘れており、前回出版した時の自分で書いたブログのページを見て思い出しながら作りました。原稿をjpgにするまでは良いんですよね。いつもやっている作業なので。Kindle Comic Creatorになった途端、忘れているんです。若干バタつきつつも出来たのでAmazonにアップして販売したら、早速2つミスに気がつきました、、、。一つは対象年齢の表示が間違えていた事、こちらはKindle direct publishingの管理ページで簡単に直せます。ただ再認証してもらわないといけないので若干時間が掛かります。一度アップするとAmazonの許可が必要になってくるので、アップする前によく確認しないといけないですね、、、。もう一つのミスは、スマホで見ると縦横の回転をしないのでとても見にくい、、、。こちらは大問題です。私のスマホのせいかと思ったら、どうもそうじゃないらしい、、、。Kindle Comic Creatorで作る際の設定で、横向きに固定していたせいだと思うので、作り直しまして、再度データをアップし直し、認証もすぐ来て無事(?)販売されました。