ブログを始めたばかりだし、とりあえず有名どころで大好きな絵画を紹介します。
16世紀末、桃山時代に描かれた松林図です。国の宝というにふさわしい、美しく静謐でどこか寂しく、不思議世界に引き込まれてしまいそうな靄にたたずむ松林の絵です。
屏風絵 六曲一双 紙本墨画。 東京国立博物館に収蔵されています。
2年か3年前に東博の国宝の間に展示されていたので観に行って来ました。いわゆる水墨画なのですが、西洋絵画に親しんできた私には抽象画のような、印象派のようなイメージがあり、これを16世紀の日本人が描いたのかと衝撃的でした。実物の方が図版や写真で見るよりも水墨画らしく、筆の勢いなどを感じます。見る位置によって松林に入ったような感じが味わえる、と聞いていたので、作品の前を右に左にウロウロ、、、。ですが前で観ている方達を押し除けるわけにもいかず、不思議体験はできませんでした、、、。
この作品の成り立ちは不明で、実は習作または草案ではないかとの説もあるようですが、松しか描いていないにもかかわらず、林の中の空気が見事に描かれ、見ていると胸が締め付けられるような、等伯のメッセージが感じられます。桃山時代といえば、戦乱の時代です。等伯はこの絵の中に宗教的なメッセージを込めたのかもしれません。