北斎漫画〜その1〜

先日、古本ですが「北斎漫画」を全編購入しました!江戸時代に刷られたものが欲しいですが、そんな財力は無いので、昭和に発売された、浮世絵研究で有名な永田生慈先生が監修の本を購入しました。

言わずと知れた「北斎漫画」。文化11年(1814年)から明治11年(1873年)まで全編15編出版されました。ちなみに北斎は嘉永2年(1849年)4月18日に90歳で亡くなっています。生前に出版されたのは十二篇まで、それ以降は没後、と言うことになります。

十五篇合計で4000近い図があり、動植物、岩、水、風、空想上の動物人間、波、お墓、村、歴史上の人物や高僧、庶民の生活、武士、魚、犬猫、虫、トカゲ、神仏、風景、コマ絵の相撲や踊り、剣術や槍の稽古風景、幽霊、バケモノ、文様、野菜、おもちゃや生活道具、騎馬武者、龍、樹木、草などなど、、、。購入した本も分厚いハードカバーで3巻分です。

ART INSTITVTE CHICAGO – Hokusai manga
The New York Public library digitalcollections

北斎の絵を見るといつもそのデッサン力に、つい「うまいよな〜」と呟いてしまいます。そして必ず北斎の個性が光っている。凄い人です。

「ホクサイスケッチ」として欧米でも有名になり、浮世絵ブームの火付け役になりました。印象派のマネやポスト印象派のゴーギャンもスケッチを真似しています。エミール・ガレのガラス器のデザインにもなりました。

「北斎漫画」初編は名古屋で描かれました。名古屋永楽屋と江戸の角丸屋の出版になっています。その時の広告のコピーには、名古屋永楽屋「先生の物に感じ興に乗じ折にふれ心に任せてさまざまの妙図を写たる編〜」江戸角丸屋「興に乗じて心にまかせてさまざまの図(かたち)を写す編〜」とあります。まさに北斎の心に写った万物を描いているようです。しかし、当初は増え続ける各地にいる北斎の弟子やファンの絵手本としての目的が大きかったようです。ですが、大衆に大人気となり、続編が次々出版されて一大ブームになってしまいました。いまだに「北斎漫画」が出版されていますから、200年に渡る大ベストセラーです。

The New York Public library digitalcollections
The New York Public library digitalcollections

「マンガ」という言葉の語源といわれていますが、タイトルを考えたのは北斎だそうで、たくさんの物を気の向くままに写した、というような意味合いだったようです。でも内容が滑稽なものやパロディな絵が多かったので、言葉が現在の「マンガ」の意味に変化していったのでしょう。そういう意味では確かに現在の代表的日本文化のマンガに多大な影響を与えていると言えると思います。

私なんかが北斎漫画を語っていいのか?と思いつつ、楽しいし、発見もたくさんあるので、また次回。

キッカケは原田マハ

私(妻)は日本美術が大好きです。でも本当はつい数年前にハマったばかり、、、。元々芸術学とか専攻してたのに、仕事に結婚、育児に追われて、気付いたら美術からかけ離れた生活をしていました。その間、ピアノにハマったり(4歳からやってたので)編み物にハマったりしてたのですが、結局やっぱり美術の世界に戻ってきてしまいました。でも、本当は若い頃は日本美術に興味なくて、(授業で習った若冲は強烈に覚えてるけど)西洋画とか現代アートが好きでした。

美術に気持ちが戻ったきっかけは作家の原田マハさん。

フリーのデザイナーをしていると、結構自由な時間が増えまして、その間、図書館から大量に本を借りて毎日没頭して読んでいました。まあ、普通に人気の小説が中心だったのですが、今までで一番読書した時期。月10〜20冊くらい読んだかな。(強者はもっと読むと思いますが)2〜3年図書館に通っていました。図書館様様ですm(_ _)m コロナでちょっと足が遠退いているけどまたお世話になります。その中で一番好きだったのが原田マハさん。

MOMAでキュレーターも勤めた西洋美術のプロが書くアートな小説はどれも面白かった!実在する画家とフィクションで登場する人物の境界線が曖昧で、どこから事実か、フィクションなのか分からなくなってしまい、ネットで検索して調べたりすると、さらにその芸術家のことが知れたりして勉強になりました。

特に心に残っているのは戦後の沖縄の「ニシムイ美術村」の芸術家達と米軍の医師との交流を書いた「太陽の棘」。おハズかしながら彼らのことは全く知りませんでした。戦後の混乱と廃墟の中、作品を作り続ける姿に感動します。沖縄芸術復興の拠点となった彼らの作品を是非見てみたいです。

太陽の棘 (文春文庫) [ 原田 マハ ]

価格:704円
(2021/5/24 14:05時点)
感想(5件)

他にもマハさんの作品はゴッホやモネがモチーフになっている話などなど惹き込まれます。作品数も多く、泣きながら読んだ作品も多く、ああ、原田マハさんの話になると止まらなくなってしまう。(ちなみに芸術の絡まない作品も面白いです!)

そこからもう一度美術を勉強しようかな〜と美術書コーナーに立ち入ってしまった!これがいけなかった(笑)西洋画ももちろん美しいですが、学生の時に学んだ事も多いので、全く知らない日本美術はどんなもんなんだろう?と思ったら、めちゃくちゃ面白かった!!!

印象派の画家達はこの何倍ものショックを受けたのかもしれませんが、西洋画の美しくバランスも取れて遠近法も完璧な絵画と比べると、大胆な構図や、デザイン性の高さ、細密な描写などなど全く違う世界が展開されていた!何故今まで出会おうとしなかったんだ〜!と自分を攻めてしまいました。そこから図書館で借りるのは美術書になり、ノート片手にメモを取り出したりして、気分は学生。美術館にもあちこち行くぞ〜!と展覧会とかチェックしてカレンダーに書いて息込んでいたらコロナ(泣)