大吉原展

東京芸術大学美術館で開催中の大吉原展に行ってきました。

吉原を題材にした絵画を中心に展示されています。浮世絵、肉筆画と充実した展示でした。また、精密に制作された模型も見応えがありました。
特に美しかったのは肉筆画です。吉原というと浮世絵のイメージがあったので、大きなサイズで美しく彩色された作品に魅入られました。看板になっている絵も喜多川歌麿の肉筆画「吉原の花」という作品で、これを見れただけでも行った価値があると思いました。歌麿の作品の素晴らしさを再認識しました。

またこれだけ纏まって吉原の絵画が見られたのも資料的にも面白く、吉原の世界を堪能できました。もちろん図録も購入し、今後の活動に活かしたいと思っています。これだけ纏まった書籍ってなかなかないですよね。展覧会の図録はほんと助かります。


良い展覧会でしたが、春画が展示されていなかったのが意外でした。春画展では無いものの、吉原と春画は切り離せないと思うので春画も展示して欲しかった。といっても展示自体が難しいのかもしれませんね。18禁にするなどの配慮が必要になるのかもしれません。芸大美術館という施設ですし、やはりまだまだ春画の展示は難しいのかな。

写真で愉しむ三越アーカイブス

1月17日から日本橋三越本館1階中央ホールにて「写真で愉しむ三越アーカイブス」を開催しています。

こちらのイベントでVR江戸時空「日本橋編」を上映していただきました。1月17日〜19日までの3日間でしたがたくさんの方にご覧頂き、ありがとうございました。また、まさにここ、越後屋で上映して頂き感激です!日本橋の方々に見て頂けて本当に嬉しい限りです。

「VRのポップ作る」と言われていたので、え?そんなしょぼいの?って思っていたら、こんな上品なデザインのパネルでした!これはポップじゃ無い、、、。
VRでイベントの様子が見れます!まりんちゃんの振袖姿が可愛い💕

今回の上映会は株式会社EJE様にお任せだったので、VRゴーグルで2席設けている、ということ以外分からず、どのようなイベントでどのように展示されているのか、会場に行くまで知らなかったので、ちょっとドキドキでした。2席だし隅っこの方で地味な展示なんだろう、と思っていたら、中央ホールってあの有名な三越の階段のあるスペースだったんですね。流石の三越!上品で格式高く、驚き、というか感激しました!

越後屋の看板。「現金」ではなく「現銀」なんですね!庶民は銀を使っていた、ってことですね。

メインの展示は三越の歴史を語る浮世絵やポスターなどで、浮世絵好きの私は、まさかここで浮世絵鑑賞ができると思っていなかったのでラッキーでした!さらにテンションを上げながら越後屋の貸傘のレプリカに感激し、明治〜昭和のポスターや雑誌など、貴著な作品を見れて展示会として大満足でした。

越後屋の貸傘。これをお得意様に貸してたんですね。お客にとってはステイタスシンボルです。有名ブランドの紙袋を持つのと同じですね。
江戸時代の浮世絵に描かれた越後屋。
三越百貨店のポスター。一番左の「全館落成」に描かれている場所がまさにここ。歴史を感じます。
「みつこしタイムス」という三越の小冊子です。可愛い!
日本橋三越の建物は重要文化財になっています。大理石には巨大なアンモナイトが!!

明日から展示内容が変わるようですが、とても見応えがあって、良いイベントでした。さすが、本物は違うな。そんなところでVRを上映して頂き本当に感謝です!

Kindle出版にチャレンジ・後編/Kindle Comic Creatorと格闘編

かなり遠回りをしてしまいましたが、Kindle Comic Creatorで再度電子書籍を作ります。結果的にKindle Comic Creatorで出版できたので詳しく説明します。
Kindle Comic Creatorを開いて「新しい本を作成」をクリック。


言語や縦横などを選び、サイズを入力します。画集などはダブレットで読まれる方が多いそうなのでこちらもタブレットサイズに。小説などを読む方はスマホで読まれる方が多いかもしれませんね。「続ける」をクリックして次の設定へ。


タイトルや著者、出版社(法人ではなくてもok。私はこのブログ名をそのまま使います。)を入力し、カバー画像を選択。保存先をきちんとセレクトしないとMACの中で迷子になっちゃいますのでちゃんとセレクトして、「ページの追加を開始」をクリック。


すると、ファイルをセレクト出来るので事前に用意していたjpg画像を全て選びます。
すると1画像1ページで出来上がり!もちろん後からでも左上のアイコンをプチっとしてページの追加や削除も出来るし、ページの順番も変更できます。


本の形が仕上がったら、「ファイル」から「KF8ブックとしてエクスポート」を選ぶと電子書籍が出来上がり!

KindlePreviewerをダウンロードしてプレビューしてみましょう!
やっと出来た〜と思ったら、今度は色が変。bookで見た時は大丈夫だったよ??分からない。もう一度やり直して、ん〜おかしい。と気がついた!!Illustratorで編集したので、CMYKのままだった!普段は印刷物をデザインしているので、CMYK設定じゃ無いと大変なことになるけど、こちらはweb。RGBじゃないといけなかった、、、。もしかしたらpagesでエラーになったのもこのせいかもしれません。なんてこった!ということは、もう一度Illustratorに戻って全てRGBにして作り直し、、、。そうだよね。RGBだよね。うん。普段印刷媒体を作っている人は要注意ですね。

作り直して書き出したjpgを再度Kindle Comic Creatorに入れて、今度こそ、出来ました(泣)。
Kindleダイレクトパブリッシングにデータをアップしたら、今度はok! 値段を設定し、アンリミテッドの設定もして、無事出版に漕ぎ着けました!なんだかんだ、出版を決めてから1ヶ月。簡単に出来るよ〜、って聞いたけど、50ページの本に1ヶ月って、、、。結構大変。でも2冊目はきっともう少し楽に出来るはず、、、。多分。今回は文章少かったので2冊目はもう少し文章書いて、ページ数も増やさねば。ライター業務も頑張るぞ!

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Kindle出版にチャレンジ・前編/Kindle Comic Creatorとpagesに格闘編

チャレンジって、この歳で(年齢は非公開ですが)チャレンジするってなかなか無いかも?(と世間的に思われるような年齢です)でも近年、停滞した自分自身の時間を動かすべく、色々取り合えず試してみようとしていて、新たなことに挑戦しています。
それはさておき、Kindle出版を始めようにも何をどうしたらいいのかも全く知らないド素人が、取りあえず出版できたよ、って話です。

前回の「Kindleで電子出版始めました!」に書いた、むうさんと渋谷さんに全て教えて頂いた結果です。
Kindle出版はAmazonのKindleダイレクトパブリッシングに作品をアップすれば良いのです。誰でも公序良俗に反しないものであれば出版出来ます。(厳しい規定は無いようですが100%出版可では無いかもしれないので詳しくは公式ページをご確認ください。一応審査はあるようです。)
まず必要なのは当然ですが「作品」ですね。何を出版するのか、その内容によって、本の作り方が変わってきます。小説やエッセーなど、基本的に文章のみの本はKindle Create、漫画や写真集など、図版が多いものはKindle Comic Creatorを使用すると簡単に作れます。こちらはAmazon Kindleの推奨ソフトで無料でダウンロード出来ます。

と、ここで素人の私はいきなり壁にぶち当たります。Kindle Comic Creatorがダウンロード出来ない!my PCはimacのM1チップなのですが、もしやM1チップに対応していないのか??ショック(泣)「Kindle Comic Creator v1.1 for Intel Mac (OSX 10.6 以降) 」ってかるけど、Intelじゃ無いとダメなの〜!?

ネットで調べたらMACにデフォルトで入っているpagesでも作れると出ていたので、pagesで作ってみました。
pagesも今年になって初めてちょっと使っただけでよく分からないけどやってみる。テンプレートから「ブック横」を選ぶと写真集が出来る設定になっているのでそちらを選びます。(文章メインの本は縦型を選びます。)

pageaのテンプレート。色々あるので自分が作りたい本に近い物を参考にしましょう。

白紙のページに江戸の写真を載せて作品名や説明を打ち込んでいくと簡単に本が出来上がります!おおお〜〜〜思ったより簡単!出来たデータをEPUB形式で書き出すと電子書籍の出来上がりです。書き出したデータをダブルクリックするとbook(こちらもmacに搭載されてるやつ)が開いて読むことができる!わ〜い!と思ったのですが、なんか違う。バランスとか、やっぱりちゃんとデザインしないとカッコ悪い。ということで一からやり直し。根本的に編集し直しです。

Apple Booksでプレジューできます


pagesは元々デザインソフトでは無いのでやっぱりキッチリ作るにはIllustratorやInDesignで作らないとですね。ということで一番使い慣れているIllustratorで全ページ編集し直し。Illustratorで作ってjpgで書き出します。そのjpgを貼っていけばいいんですね。ここで大切、渋谷さんからアドバイスを頂いたように、アートボードをピクセルで設定します。普段はmm設定ですからね。しっかり設定変えないと全部やり直しになってしまいます。ピクセルでタブレット画面のサイズにして編集開始。

Illustratorが一番慣れてるので、Illustrator触っているとホッとする。

英語訳を付けたかったのでほぼ文章は入れていないのですが、編集作業って意外と大変。TAPIRUSの渋谷さんは500ページ以上の本を出版されてて、尊敬です。本業じゃなくてサイドビジネスですからね、これ1日中やっても何日かかるんだろう、、、。900ページの本もあるそうです。果てしないな。デザイン900ページってことですからね、、、。

今回は50ページなので取り合えずIllustratorのデータはできた!jpgにもした!次にpagesもタブレットの書類サイズにしたいのですが、どこで変えるか分からず、ネットで調べました。「ファイル」メニューから「ページ設定」を選択すると「用紙サイズ」のポップアップメニューが出てきます。「カスタムサイズを管理」を選択するとサイズを入力できます。もっと簡単にサイズ変更できないもんかな〜とかブツブツ言いつつ、サイズを変更し、編集していきます。貼り付けるデータ自体はできているのでここは簡単。ペタペタドロップして貼れば良いだけ。EPUB形式で書き出してbookで見ると、おお〜出来てんじゃん!

取り合えず試しにKindleダイレクトパブリッシングにアップしてみよう!と思ったら今度はアップできない!エラーが、、、(泣く)。pagesのせいなのか??なんか、文章メインだと上手くいくけど、写真メインだと難しい、と失敗談がネットでも出ていたので、TAPIRUSの渋谷さんに頼って、違うソフトを教えていただきました。(もしかしたらpagesのエラーは単純なミスかも、、、。原因と思われるのは後編に)

漫画のEPUB3作成ツールでも作成できます。こちらもオンラインの無料ソフトです!すごい、そして意外と簡単。一気にjpgデータをアップロードしてプレビューしてみたら、おおお〜できてる!ただ、見開きの作品集を作りたかったので、それにはちょっと一手間必要なんですね。そのためのソフトがなんとダウンロードできない(泣)。この辺でちょっとメゲた。

もう一度pagesに戻ったけど、やはりダメで、Kindleダイレクトパブリッシングを読むとやはりKindle Comic Creator推奨。ダメ元でもう一度チャレンジしたら、なんと今度はダウンロードできた!!やった〜〜!って、この前なんでできなかったんだ??単に通信が悪かっただけか??ということでKindle Comic CreatorはmacのM1チップでも大丈夫でした。

長くなったので続きは後編に!

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Kindleで電子書籍出版始めました!

Ukiyoe-3dimensionsシリーズとして中村宣夫作品集を出版致しました。第一弾は江戸城です。

家康、秀忠、家光の築いた三天守と建造されなかった四つめの天守。江戸城全景、将軍の生活、大名登城、役人、大奥の作品を集めました。是非Amazonにてご覧下さい!
今まで出版社の仕事をしていた割に、というか出版社と仕事をしていたせいか、自分達で本を出版する事を考えた事がありませんでした。なのに、なぜ今さら?
実は先月のイベント江戸時空に若い頃勤めていた会社のコピーライターの「むう」さんが遊びに来てくれました。私と同世代で子育てもしていた彼女は、今でもちゃんとコピーライターもしていて、ショートショートの編集もしてKindleで出版していました。すごい。静かな人なのにパワフル!そんな彼女が電子書籍出版を勧めてくれました。(おまけに舞台の台本も書いていた、、、刺激されます)

実は今まで紙での出版は考えたことがあったのですが、電子出版を考えた事が無かったので、結構衝撃でした。私的には本は紙が好きで漫画以外はほぼ紙の書籍。手元に残る感じも好きです。特に画集や専門書関係は、学生の頃からずっと残しています。断捨離してもこの辺だけは捨てられない、、、。
でも本は紙、という概念は古いですね。特に写真集や作品集はデジタルの方が気軽で綺麗かもしれません。印刷や紙によって色も作品の表情も変わりますから。元々デジタル作品ですしね。作品もネタもあるし、Kindleなら簡単に出来るよ、とむうさんにアドバイスを受けて、早速その気に。
Kindleで美術書を多く出版しているTAPIRUS出版の渋谷漠さんを紹介してもらって、初心者の私に色々教えてくれました!凄い良い方で、マヌケな私に色々アドバイスしてくれて、背中を押してもらいました(T ^ T)

むうさんも渋谷さんも執筆。
vol.11まで発売されてる人気ショートショートマガジンです。
Kindleで人気のアートブックをたくさん出版しているTAPIRUSさん

出版するための編集と電子書籍にした時のマヌケな顛末はまた次回。

MOA美術館

この夏、久しぶりに熱海へ温泉旅行に行ったので念願のMOA美術館に!

岩佐又兵衛がある!という事にしか興味が無かったので、どんなところにあるとか良く知らずに行ったのですが、行ってびっくり、というか行く途中でびっくり!!熱海の山の上、しかも温泉街からは細くて急な山道を行かなければならず、、、。クネクネ曲がっているし、次男の運転で行ったのですが、もう行かなくても良いかな、くらい怖かったです、、、。他のルートもあったのかも知れませんが、温泉街に出るには多分細くて急な坂道を通らないとダメだと思います。熱海が坂の街だから仕方ないですね、、、。

でも事故らず、無事に到着。ホッ。

肝心の美術館ですが、とても美しい美術館でした。なんと言っても山の上なので眺めが良い!窓からの景色が既に絵画でした。おすすめの観光スポットですね。

鎧塚氏のレストランも入っていて、まさか熱海で、一流パティシエのケーキが食べれるなんて!貴重な体験!美味しかったですよ。

秀吉の金ピカの茶室も再現されていました!

今回の展示は浮世絵で、「北斎 The Great Wave × Digital」を開催していました。という事で、見たかった又兵衛の絵巻は見れなかったのです、、、(泣)。常設展示はしていないんですね。でも又兵衛風の屛風と浮世絵が見れて良かったです。北斎も大好き!

こちらの美術館はお庭も素敵だそうですが、今回は時間がギリギリに入ったので、お庭が見れず、残念でした。

又兵衛かな〜と必死に見たのですが、違うかも。毒さが足りない。
こんな大胆な構図の屏風も好きです
美しい肉筆浮世絵

オマケですが熱海の花火は見事でした!ホテルの屋上から見ました。熱海の街が花火に飲み込まれそうです。また温泉入りに行きたいなぁ~。

小紋雅話

山東京伝作の「小紋雅話(こもんがわ)」という小紋の図案集のデータ化を試みました。

「小紋雅話」は寛政二年(1790年)蔦屋重三郎により出版された小紋模様見立絵本です。山東京伝の小紋集は好評だったようで、天明4年(1784年)「小紋栽ざい」、天明6年(1786年)「小紋新法」に続き3冊目に出版されたのがこの「小紋雅話」でした。

江戸の人は洒落好きだったので洒落の効いた風変わりな小紋です。実際にこの柄の着物が作られていたのかは分かりませんが手拭いや小物にするのは楽しそうです。

山東京伝(1761年〜1816年)は年齢的には葛飾北斎の1歳年下。浮世絵、読本、絵本の全盛期に戯作者、浮世絵師として活躍しました。浮世絵師としての名は北尾政演。寛政の改革のため、小紋雅話が出版された翌年の寛政三年には洒落本が禁令を犯した罪で手鎖50日の処分を受けています。しかし、その後も蔦屋重三郎と組み、多くの作品を残しました。

小紋雅話は江戸人の豊かな発想力と笑いを求める明るさ、大らかさが詰まった図案が156案描かれています。その図案を全てベクターデータ化しました。資料が古く鮮明では無いため、私の解釈でのデータとなりますのでご了承ください。順次illustACにて無料配布致しますので是非、風変わりな江戸小紋をお楽しみください。

『天竺にてはかんなクズを見て字を作し、オランダにては牛の涎を見て字をなす。唐の蒼頡(そうけつ)は鶏の足跡を見て、字を作りたると聞ゆ。われはまた犬の足跡を見て梅の花と見たて、書なるか、字なるか。いっこう分からざる物数十を作し、名付けて小紋雅話という。これももんがぁの類いにして、いずれ怪しかるべし。』〜小紋雅話叙

参考資料:「滑稽本集」日本名著全集刊行会刊

ダウンロードはこちらから  → illustAC

読書の秋

最近、矢島新著「日本美術の核心」という本を読みました。日本美術のオリジナリティについての著作ですが、とても面白かったです。

以前友人に、「日本人は西洋画のように写実的に描けなかったのかな?」と言われたことがりました。確かに遠近法とかの観念が無かったし、写真のようにリアルな絵画は日本画にはほぼ有りません。でも以前紹介した渡辺崋山のように写実的な人物画があるし、応挙の昆虫のスケッチなんて図鑑のようです(それ以上に美しい)。仏僧の木彫などには動き出しそうなリアルな作品もあります。それに、写実的かどうか以前に美しいものは美しいし、写実的じゃなくても面白い。と言っても、確かに江戸時代の西洋画風絵画でも遠近法はまだ未完成で不恰好だし、未熟にも見えてしまう。日本画の良さをどの様に説明したらいいのか上手く話せずモヤモヤと胸に残っていたのですが、この本の中に解答があってスッキリ!

西洋の絵画が現実をリアルに写す方向に芸術の世界が向かったのに対し、日本は美を表現する方向に向かったため、現実の世界と違くてもそれに重きを置いてこなかった。その結果としてデザイン性の高い作品が生まれていった、ということでした。

写実的ではない、イコール下手では有りませんし、写真の様に写実的だった西洋画が抽象画に方向転換したのは浮世絵の影響です。日本画は抽象画とも言えますから、浮世絵に衝撃を受けた印象派の画家たちが抽象画に向かい、現代アートまでの変革の道筋が出来ました。写実的=美という概念をぶち破ったんですね。

ヨーロッパが大航海時代以降、世界の覇者となったために西洋の(キリスト教的)価値観が世界に広まり、それ以外は野蛮だ、といった風潮になってしまったので絵画に限らず西洋的価値観で全てのものを見てしまうようになりました。その為にそれ以外の国々の文化への理解が乏しくなってしまったけれど、逆に西洋の画家が東の外れの国の絵画に衝撃を受け、芸術表現を大きく変えることになったのはとても面白いことです。自分達と全く違う文化を受け入れられる芸術家は度量が大きいと思います。というか度量の大きく柔軟な芸術家が世界を変えていくんだな〜と思います。

また、日本で印象派の絵画が人気なのは日本人として親近感があるからだと考えると納得がいきます。印象派以前のキリスト教の絵画や王侯貴族の絵画よりも日本のエッセンスが入った印象派の絵画は肌で理解できるのでしょう。

少し話がズレますが、私は西洋画では印象派よりも中世の作品が好きです。ギリシャの均整がとれた時代とルネサンスの間の、暗黒時代とも言われたキリスト教が支配していた時代です。なぜ好きかというと、とてもデザイン的で面白いから。写実的な観点から行くと下手ですが、平面でどの様に必要な宗教的要素が描けるのか工夫した結果、面白い絵画が生まれた様に思います。勉強不足で西洋中世画について多く語れませんが、金も多用していて、やはり日本画との共通点があるように思います。(今度詳しく調べてみよう!そうか、だから中世画が好きだったのか。)随分前ですがイタリアに行った時、ボローニャにある中世絵画の美術館に寄ってきました。やっぱり美しく面白い絵画でした。イタリアでもあまり人気がないのか、他に鑑賞している人はいませんでしたが、、、。

そのほかこちらの著書では世界の芸術の中心となった国(仏伊中など)の周辺国(日本も中国の周辺国)の文化や日本の素朴絵(かわいい絵)などについて書かれていて、興味深かったです。かわいい絵はまさに現代の漫画や様々なキャラクターに結び付きます。

文章も読みやすく日本美術の本質的な流れが分かりやすく書かれていて、芸術&読書の秋にぴったりの本でした。

日本美術の核心 周辺文化が生んだオリジナリティ (ちくま新書 1633) [ 矢島 新 ]

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水木しげるの妖怪 百鬼夜行展

美術展レポートの続きです。実は一番行きたかった、六本木ヒルズ東京シティービューで開催中の「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展」をご紹介します。水木しげるは浮世絵や日本画の百鬼夜行に影響を受けていて、正統的な日本画の妖怪画家としての位置付けが出来るのではないか、というテーマでの美術展で、大変面白かったです。

歌川国芳の「相馬の古内裏」の髑髏、北斎の百物語「小岩さん」が元になっているイラストも。

入ってすぐには、スマホを使ってVRの妖怪を楽しめるスペースがあります。子供連れが多かったのでイベントとして良い企画だと思いました。アプリのダウンロードにちょっと時間がかかりましたが、その間にブロンズで作られた妖怪たちをスマホで撮影。アプリがダウンロードできたらブロンズの妖怪たちの周りや窓際でVR妖怪達を探します。妖怪を見つけるのに手間取ったりして、見つけたらカシャリと撮影。子供達に混じってイベントを堪能しました。

こなきジジイ
周りにVR妖怪が隠れているかも?

その後は水木しげるの生い立ちと青春時代の経験から妖怪に興味を持った経緯が漫画の展示と共に説明されます。でっかい「ぬりかべ」も出現!

ぬりかべの後からは、日本画や浮世絵に出てくる妖怪と、水木しげるの妖怪が並べて展示されていて、そのルーツが明らかにされます。もともと、百鬼夜行も浮世絵も大好きな私としては一番楽しみにしていたスペースです!

ただ単に、昔の絵画を模して漫画を作っていた、と言うのではなく、それを水木しげるの世界観にリメイクして作品にしている。また、妖怪だけでなく、その背景画も物凄く緻密に描かれていて、この人はどんなに絵を描くのが好きだったんだろう、と感激してしまいました。この背景を一枚の風景画にしても楽しめると思います。また、完全に水木しげるのオリジナル妖怪で古い絵画にはない妖怪たちも沢山います。こちらも見応えがあります。

「百鬼夜行」は古く、平安時代から説話や絵画として描かれています。昔からいろいろな姿になりながら、よくわからない存在、不気味で怖い存在としてバケモノは人々に恐れられました。現在も夏になると妖怪の本が本屋さんに並んだり、テレビや映画でもホラーものが増えたりしますが、人間誰しも、「そんなものいないよね」と言いつつ妖怪やお化けを心の中で恐れているもの。水木しげるの漫画はそんな日本人の心の中にいる妖怪をちょっと怖く、ちょっと可愛く、ちょっと面白く描いたことで世代を超えて愛され続けているのでしょう。私も子供の頃、ちょっと怖く、ちょっと可愛く、ちょっと面白いゲゲゲの鬼太郎が大好きでした。

「水木しげる展」と言うことで、子供連れが非常に多かったです。「ゲゲゲの鬼太郎」のイベントを期待して来たんだろうな〜と思いますが(ヒルズの方では「ドラえもん」がたくさんいるし)、前半以外は所謂子供向けイベントではないので、後半はどんどん親子連れに抜かれます。正直、じっくり1点ずつ絵を見ている人はほぼいなくて、とても残念!と言うか、勿体無い!!絵の解説も丁寧にしてあるし、日本画を知らない人にも分かりやすい展示だと思うのに、、、。原画を間近で見れるなんて滅多にないから、親子連れに白目で見られても、ガッツリ絵を楽しんできました。是非、絵画好き、日本画好きの人にも見て頂きたい美術展でした。

お土産のカタログと、悪魔くん

余談ですが、絵を見ていたら、背後から、カランコロンと下駄の音が、、、。振り向くと、全身鬼太郎の少年が!でも鬼太郎も目玉親父もいなくて残念だったね。

そして、森美術館含め、こちらのイベントは22時まで開催しているので、大人だけの場合は夜行った方が良いかな〜と思いました。百鬼夜行だしね。

水木しげるの妖怪 百鬼夜行展

虎図

今年も半年が過ぎようとしていますが、今年は寅年ですね。正月前後にしか毎年の干支を意識しないので数ヶ月するとすっかり忘れてしまいます、、、。今年は寅年ですが、グローバル・タイガー・サミットが開催され、絶滅危惧種であるトラの保護について国際的に話し合われるそうです。

日本に虎は生息していませんが、古くから虎の絵は親しまれてきました。今でも、強い虎のイメージそのままに厄除けとして鶴や亀と同様に縁起物の一つです。武士の屋敷では来客者を威嚇するためにも使われたようです。

円山応挙 「虎嘯生風図」天明6年(1786) 絹本着色
東京国立博物館蔵
虎は風を操るといわれているそうで、背景の
カーブは巻き起こした風でしょうか。
ふさふさの毛と柔らかそうな体。モフモフしたいですね。
出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)
熊代 熊斐 「虎図」宝暦12年(1762) 紙本著色
九州国立博物館蔵
南宋画の先駆者、熊斐の作品。
ふさふさの毛とくりくりの目が可愛いです。
出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

虎の実物を見ずに描かれた日本画の虎はちょっと微妙です。写実的絵画が得意な応挙でさえ、微妙です。日本人にとっては空想上の動物と同じだったのかもしれませんが、猫科の動物と知っていたから、ちょっと猫っぽく可愛くなってしまったり、、、。空想上の動物の龍は大体かっこいいですけどね、、、。でも見ることが出来なかったからこそ、絵師による工夫がされていて、色々な虎がいるのが面白い。個性が発揮されています。いろんな顔していて、迫力があるものから、可愛い虎まで、こんなコがいた!って感じで楽しめます。

伊藤若冲 「虎図」 絹本着色 一幅 プライスコレクション 
朝鮮の虎図を模写した作品
朝日新聞出版 「若冲への招待」より
伊藤若冲 「虎図」 紙本墨画 一幅 石峰寺蔵 
可愛い虎。動植物を愛した若冲の優しさあふれる作品。
実物を見たらどんな虎を描いたのでしょう。
朝日新聞出版 「若冲への招待」より

トラは元々アジアに広く分布している野生動物です。インド、東南アジア、中国、朝鮮半島からロシアまで生息域がありますが、ここ100年で激減して、絶滅危惧種になってしまいました。と言われても、日本とは関係ないんじゃない?とは認識不足でした。虎は漢方薬として使用されていたため、近年まで密輸されていたようです。昔、虎の敷物なんてものもありましたよね。

渡辺崋山 「猛虎図」 天保9年(1838)絹本墨画淡彩 
平野美術館蔵
田原藩の三千両もの借財の代わりに三河国前芝の加藤家に送られたと伝えられる「三千両の虎」と呼ばれた作品。
新潮日本美術文庫「渡辺崋山」より

もちろん世界的に現在はトラの狩猟は禁止されていますが、密猟は今でもどこかで行われているそうです。ということは高値で買い取る商人がいるということ。そしてそれを買う客がいるということです。自然環境の変化も激減の一因ではあるようですが、ほとんどが人間の仕業です。ということは人間が救うことも出来るわけですね。地道な保護活動をされている現地の人には頭が下がります。

詳しくはWWFのHPをご覧ください。

渓斎英泉 「月に虎」19世紀 大短冊判 錦絵
虎は夜行性なので月とともに描かれることが多いそうです。
東京国立博物館蔵
出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)
葛飾北斎 月みる虎図 天保15年(1844年)
紙本一幅 島根県立美術館蔵
85歳晩年の作品。可愛い夢見る虎ですね。
新北斎展(2019年)カタログより

渡辺崋山 (新潮日本美術文庫) [ 渡辺崋山 ]

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若冲への招待 Ito Jakuchu [ 朝日新聞出版 ]

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