岩佐又兵衛作「三十六歌仙額」を見に埼玉県立歴史と民族の博物館へ

先日、「埼玉県立歴史と民俗の博物館」に、岩佐又兵衛勝以の「三十六歌仙額」(重要文化財)を見に行ってきました!9月から3期に分けて展示されていたのですが、色々スケジュールが合わず、やっと最終日の前日に行けました。

この作品は川越市仙波東照宮所蔵の作品ですが、保存の為と思われますが、現在は県の博物館に収蔵されています。思ったより博物館が遠かったので、川越の博物館に置いといてよ〜、自転車で行けるのに〜、とちょっと文句言いつつ、始めて「埼玉県立歴史と民俗の博物館」に行きました。埼玉なのに、結構ちゃんとした博物館で埼玉県で出土された品を展示してあり、日本の歴史の中の埼玉地方の関わりなどわかりやすく展示してありました。

埼玉県立歴史と民俗の博物館の展示リーフレットより
裏に署名があります

お目当ての「三十六歌仙額」は美術展示室にあり、1点づつはそんなに大きくないのですが、ガラスケースの手前に斜めに展示されていて、非常によく鑑賞出来ました。ガラスケースの奥の壁に展示されているだろうと予想して行ったので、嬉しかった!まじまじと手に取れるくらいの距離で見られるのは貴重です。ガラスにへばりついて見てきました。

この作品は、川越の喜多院の隣にある仙波東照宮が寛永15年(1638年)の火災で消失したため、三代将軍家光の命で拝殿が再建され、そこに奉納するために制作されました。寛永17年6月17日に拝殿が落成しているのでその年1640年の作ということになります。又兵衛、忙しかったのか、ギリギリまで仕上がらず、脅迫めいた催促の手紙が残っているようです、、、。なんか人間味があって良いですよね。

1640年の作品ですし、仙波東照宮も結構ボロい、いや、古いので作品も痛みが激しいかと思いきや、とても綺麗でした。380年経ってますし、しかも神社の拝殿にあったものなのに保存状態は良好でした。とても美しいですし、細かいデイテールもはっきり残っていて、見応えがありました。今回は36作品のうちの三分の一しか見れなかったので、次回展示される際にはまた行きたいと思います。

岩佐又兵衛は、6月18日に書いたブログ「洛中洛外図屏風(舟木本)」に詳しく載せていますが、波乱の人生だった為か、死後、浄瑠璃の作品になったりして、ほぼ伝説の「浮世又兵衛」という画家が出来上がってしまい、実在の人物だったのか、架空の人物なのか謎に包まれていましたが、明治19年(1886年)に仙波東照宮の宮司が拝殿に飾られていたこの作品に「寛永拾七年庚辰年六月十七日 絵師土佐光信末流岩佐又兵衛尉勝以図」と記入されているのを発見し、その存在の謎が解かれるきっかけになりました。

ということで、岩佐又兵衛を知るには重要な作品に出会うことが出来てよかったです。ますます又兵衛を知りたくなりました!

埼玉県立歴史と民俗の博物館公式HP

アクセス:東武アーバンパークライン(野田線)大宮公園駅下車 徒歩5分(住宅街を歩きます。近くて楽です)

老舗酒造の山廃仕込み「飛良泉」

また老舗のお酒を取り寄せました!
秋田県にかほ市の飛良泉酒造の純米酒「飛良泉(ひらいずみ)」です。創業は1487年(長享元年)。室町時代ですね。銀閣寺の創建と同じ頃。国宝級ですね。

「山廃仕込み」という昔ながらの製法で作られています。「山廃」って何?「山卸(やまおろし)廃止仕込」のことだそうです。「山卸」とは、蒸した米を櫂ですりつぶしてから仕込むことで、精米技術が低かった明治頃までは必要な工程でしたが、精米技術の向上によりこの「山卸」がいらなくなったので、「山卸が廃止された仕込み方法」=「山廃仕込み」と言われるようになりました。

なにはともあれ、飲んでみないと!

独特の風味があります。なるほど、酸味が強い、ってHPにあったので、これが酸味なのかな。ちょっとクセ強くて苦手かも?と思いつつ、飲んだら後味がスッキリ!美味しい!日本酒って後味が残りすぎて、なかなか進まなかったのですが、さっぱり飲みやすい!ついつい進んじゃいます。

毎回思いますが、老舗の力ってすごい。良いものを守りつつ、時代にも合わせていて古臭く無い。伝統を守り続けている方々には頭が下がります。ほんとすごい。どんどん日本酒にハマって行きます。

秋田 日本酒 飛良泉 山廃純米酒 720ml

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感想(11件)

北斎とドビュッシー

先日、友人がさいたま市音楽家協会の演奏会に出演していたので久しぶりにクラシックのコンサートに行ってきました。綺麗な音楽に癒されて、全ての芸術は音楽的であるべきだ、というショーペンハウアーの言葉を思い出しました。(古い記憶なので間違えていたらごめんなさい)

クラシック音楽を聴きながら、日本文化の関わりあるかな、と考えていて、その時に思い出したのがドビュッシー。

フランスの作曲家ドビュッシーの交響詩「海」(「海」管弦楽のための3つの交響的素描/1905年)は北斎の「神奈川沖浪裏」に影響されて作られたと言われている管弦楽曲です。美しく、壮大な曲です。キラキラと輝く凪いだ海と北斎の絵のように激しく迫ってくる波を感じます。東洋テイストもありますが、やはりドビュッシーが見ていたフランスの海を思い浮かべてしまいます。

出典:国立博物館所蔵品統合検索システム ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

ドビュッシーはカミーユ・クローデル(彫刻家)と交流があり、彼女から浮世絵を見せられて影響されたのではないかと言われています。1905年に楽譜が出版された時の表紙は「神奈川沖浪裏」をデザインしたものです。ちなみにこちらの波の絵は優等生的な綺麗な波ですね。北斎のgreate waveのように大胆にするのは気が引けたかな?

北斎を始めとした浮世絵がヨーロッパの印象派の絵画に多大な影響を与えたことは有名ですが、画家だけでなく作曲家にも影響を与えていた、ということですね。

ゴッホ ジャポネズリー:雨の橋(広重を模して)1887年油彩 カンヴァス
ファン・ゴッホ美術館蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

遠い大陸の西と東の端っこで文化的に交流がされていたなんてロマンがあります。お互い出会うことは無かったけれど、もし出会っていたら、どんな芸術が生まれたのでしょう。当時北斎は出島に来ていたオランダ人からの依頼も受けていたようですが、まさかヨーロッパで画家たちに大きな影響を与え、その発展を促し、さらに音楽にまでなってるなんて思いもしなかったでしょう、、、。

浮世絵に影響された作家といえばゴッホ。浮世絵が不用品として日本製の陶器のクッション材として使われていたのは有名な話ですが、ヨーロッパの人が日本の浮世絵を評価してくれなければ、浮世絵は現在まで残っていなかったかもしれません。ヨーロッパの方に感謝です。

ゴッホ ジャポネズリー:梅の開花(広重を模して)1887年油彩 カンヴァス
ファン・ゴッホ美術館蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)
ゴッホ ジャポネズリーおいらん渓斎英泉を模して)1887年油彩 カンヴァス
ファン・ゴッホ美術館蔵©Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)

とらやの羊羹

老舗の和菓子といえば、『虎屋』の羊羹を先日頂いたので数年ぶりに食べました。さすが、美味しいですね。甘すぎず、でもしっかりとした餡子の味がして、飽きが来ない味でした。最近羊羹は非常食としても注目されていますが、賞味期限が1年間もあってビックリです。まあ、虎屋の羊羹を非常食にする人はいないと思いますけど、、、。

虎屋の創業、室町時代後期、ってかっこいい!色々な文献に虎屋のことは書かれているようですが、浮世絵として残っていないのかな〜と思いましたが、なかなか見つけるのは大変なようですね、、、。

せめてお菓子を食べている浮世絵はないものかと探してみました!

「江戸流行菓子話船橋」天保11年 渓斎英泉(江戸商売図会(中公文庫)より)

こちらの浮世絵は深川の船橋屋織江です。江戸に京菓子の羊羹が入ってきたのは寛政年間(1789〜1801年)頃で、京菓子の羊羹を江戸っ子好みの味にして大ヒットしたそうです。絵からもその繁盛ぶりが伺えます。

北斎の作品も見つけました! 

「母子と梅の花餅」2019年新・北斎展のカタログより

母子と梅の花餅 宗理画 寛政9年(1797年)津和野藩伝来摺物 大小暦狂歌摺物

摺物は私的に出版されたもので一般の人が購入するものではなく、何らかの目的のために配布するために作られたものです。津和野藩の藩主、亀井家に残されていたものなので、藩主からの依頼で作られたのでしょう。右下の四角い重箱に入っているのは花餅です。お正月などのお祝いに食べられる、餅でできたお菓子です。そこに数字が書いてありますが、それと、周りの赤い花が暦を表しています。狂歌も上に書かれていますね。

梅の花の形をしたお菓子に数字が書いてあります

お母さんが子供をあやし、楽しそうな赤ん坊。子供の成長を願う優しい絵です。北斎30代後半の宗理時代は琳派に傾倒し浮世絵から離れていた時期で画風が繊細でこの絵のテーマにぴったりとマッチしています。

老舗酒造「郷乃誉」と江戸の「見せ物小屋」

先日の剣菱から、老舗酒蔵のお酒に興味が湧いたので他にどんな老舗酒蔵があるんだろうと、ちょっとネット検索したら、流石に沢山あるんですね〜。世界一の老舗大国。100年ぐらいじゃ、まだ新しい、って感じですよね。

色々飲み比べしたい、と思い、まずは茨城県の笠間市にある須藤本家の「郷乃誉(さとのほまれ)」取り寄せました!800年以上の歴史を持つ蔵って、すごい!平安時代か〜。実感が湧かない。「良い酒は良い米から、良い米は良い土から、良い土は良い水から、良い水は良い木から、良い木は良い酒へ。」と代々こだわって作り続けられた日本酒は世界でも賞賛されています。「生酒」、「冷やおろし」を初めて作った蔵でもあります。

何はともあれ。その歴史を絶やさなかったのは美味しいからに違いない!と言うことで試飲。

なるほど、これがフルーティーってことなんだ!日本酒のフルーティーってこれなのね、と初めて知りました!これは海外でも愛されるわよね〜、と言うか、ワインに近い感じで飲みやすかったです。日本酒苦手な人でもいけると思います。酒蔵見学もできるみたいで、いつか行ってみたいな〜〜。

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感想(2件)

飲んでばかりいないで、、、。

お酒は江戸の人の生活の一部。毎日大量に江戸にお酒が運ばれて来ます。江戸にお酒が運ばれて来る時の、酒樽を包んでいる、菰(こも)は、その後見世物小屋の建材として使用されていました。見世物小屋はいわゆるテント的に簡易に作られていたので、その壁面に、この酒樽の菰を使用していたのです。なので、所々に色々な酒蔵のマークが入っています。

「両国の見世物小屋」 
背の高い四角い建物が見世物小屋。茶色の四角いの、1つ1つが酒樽の菰。よく見ると黒いマークが入ってます。これが酒蔵のマーク

この菰は、ボロボロになったら、タワシに生まれ変わり、このタワシがボロボロになったら、カマドで燃料にされ、そこで出た灰は「灰買屋」が買って、酒の中和剤や染め物、焼き物などの制作に使われました。そしてまた美味しいお酒ができる!と言うことでこんなところでもリサイクル。江戸はリサイクル大国だったのです。

ちなみに酒樽は一升瓶40本分だそうです。酒樽の歴史は古く、鎌倉時代くらいから、板を立てかけて竹のたがで締め付けた「結桶」が始まりだそう。その酒樽を船で江戸まで運ぶときに樽同士がぶつかって破損しないよう、藁を巻いたのが酒樽の「菰」の始まりで、徐々に宣伝を兼ねて見栄えを良くして、現在ではお祝い事の鏡開きに使われていますね。

CG制作の裏話(?)小江戸川越

古い街並みを制作するのに参考になるのは当然古い街並みです。

川越に住んでおりますので、素材が身近にあるのはラッキー!というか歴史のある街だから引越して来た、というか。いくら綺麗で整備されていても、新しい家や店ばかり並んでいるのはどうも落ち着かないのです。ごちゃごちゃしていても昔からの人の営みを感じられる文化のある土地が好き。

川越に引越してかなり経ちますけれども、以前は浅草に住んでいました。浅草、大好きで、今でも時々浅草に行きたくなります。でも、浅草と同じくらい川越も好き。なんといっても江戸より古い歴史があり、当時の物が残されているのは最大の魅力です。残念ながら浅草は東京大空襲で焼け野原になってしまったので、古い建造物が遺されているは浅草神社の社殿くらいでしょうか、、、。

蔵造りの街並み

川越のメインストリート、有名な明治時代の蔵作りの商店が並ぶ街並みは壮観です。ちょっと裏道に入っても古い醤油蔵があったりと、歴史と文化が残されています。(ご近所でミニ観光ができるのも楽しい)日本建築だけで無く、かわいい洋館も味わい深いです。

メインストリートから数分歩いたところ、平安時代に創建された喜多院には江戸城の一部が移築されています。あまり知られていないのでは無いかと思いますが、ここでは本物の江戸城紅葉山にあった「徳川家光公 誕生の間」「春日局化粧の間」が見ることができます。皇居に行っても見れないのに、、、。江戸好きの人には是非ぜひ、喜多院に来て本物を観て欲しいです!さすが小江戸です。

また、川越城は嘉永元年(1848年)に建てられた本丸御殿の玄関・大広間・家老詰所が残っています。どこぞのコンクリートで再建された天守閣よりも余程、当時の城の規模や風格が伝わります。喜多院もそうですが、本物の廊下の広さとか木の太さとか板戸の大きさとか、やはり本物観ないと分からないことは多いですよね。

先日行ったときは、緊急事態も終わって、蔵造りの街は混んできましたが、喜多院や本丸御殿は比較的空いていました。もったいない!本当に見て欲しい。食べ歩きも楽しいけどね。

埼玉県指定文化財 川越城本丸御殿 (東日本唯一の本丸御殿遺構)
本丸御殿内部の廊下

こういった建造物は本物の質感、空気感も含めて全てCGの素材になります。また有名な重要文化財だけでなく、古い木造の民家なども多く残っているので、川越に越してきた頃は、あちこちに残る素材集めのために川越を奔走していました。ということで、江戸時代のCG作品には密かに川越の町が含まれているのです。

浮世絵に描かれた「剣菱」

最近次男と晩酌をしておりまして、、、日本酒が飲みたいというので「剣菱」買ってきました。

お酒は好きですが、今まで日本酒は苦手で、あまり飲んで来なかったのでどの銘柄が美味しいか、とか分からなかったのですが、流石に「剣菱」は有名なので聞いたことがあるし、一度飲んでみよう、と購入しました。

500年もの歴史を持つ「剣菱」。浮世絵にも描かれていて、江戸の人にも愛飲されていたようですね。そのお味は、美味し〜!やっぱり美味しくなきゃ、500年も続かないよな〜、間違いない。意外に飲みやすくて日本酒って美味しいんだ〜と実感。甘すぎず、辛すぎず、ちょどう良い感じ?(語彙力が、、、ソムリエにはなれないな、、、。)日本酒って甘いのから辛いのまで味に幅がありますが、剣菱はバランスがよかったです。(単なる好みかもしれませんが)

江戸の人たちも美味しいもの飲んで、江戸前の新鮮で美味しい魚を食べて、、、羨ましい〜!

現在は兵庫県神戸市に剣菱酒造の蔵元がありますが、江戸時代には、伊丹で作られていたそうです。そこから江戸まで運ばれたんですね。当時の流通が発達していた証でもあります。歌川広重や渓斎英泉の浮世絵に剣菱の酒樽を担いで日本橋を渡る様子が日本橋の風景として描かれています。その酒樽は小売りの酒屋に運ばれ、徳利や角樽などに移して売っていました。江戸ではそう言った酒屋を「枡酒屋」と呼んでいました。当時の酒屋を描いた読本にも剣菱のマークの入った樽が描かれています。

喜多川歌麿「名取酒六家選 兵庫屋華妻 坂上の剣菱」(メトロポリタン美術館蔵)
お酒の広告に美人は昔からの定番です。

歌麿の浮世絵には名酒として描かれているので、やはり当時から愛されていたんですね。

新たに国宝指定された作品

7月16日に三の丸尚蔵館に収蔵されている作品5点が国宝指定されることになったそうです。

っていうか、国宝じゃなかったんだ!ってビックリするような名品ばかりです。

狩野永徳「唐獅子図」、伊藤若冲「動植綵絵」、教科書で見た元寇の様子を描いた「蒙古襲来絵詞」、鎌倉時代の絵巻「春日権現験記絵」、平安時代の書家小野道風の「屏風土代」。

伊藤若冲「動植綵絵」群鶏図 一幅絹本着色 宮内庁三の丸尚蔵館

これらの作品が国宝になっていなかったのは驚きですが、天皇家が継承し、現在は宮内庁によって確実に保護されたいたため、国宝や重要文化財の指定をしてこなかったそうです。へ〜、そうなんだ〜。

国宝や重要文化財って単に美術的、文化的価値を評価しているだけでなく、その保護、文化財の鑑賞機会の拡大なんかのために補助をしているので、宮内庁管轄の尚蔵館にあれば、国が補助しなくていい、って事だったんですね。国宝指定された後も、管理は変わらないそうですが、一般人にしてみたら、やはり「国宝」と言われると、ありがたく感じます。とりあえず1回は見ておこう、と思っちゃう。広く作品を鑑賞してもらう機会になるので国宝指定は良い事ですね。今後も尚蔵館に収蔵されている作品が国宝や重要文化財に大量に指定されて行きそうです。

きっとコロナがおさまったら、尚蔵館で国宝展が開かれる!のを信じて楽しみにしています!でも絶対激混みだろうな〜、、、。

浮世絵師・歌川国芳の金魚

金魚づくし・さらいとんび
歌川国芳筆  江戸時代・19世紀  中判 錦絵
金魚づくし・玉や玉や
歌川国芳筆  江戸時代・19世紀  中判 錦絵
出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)国立文化財機構所蔵品統合検索システム

歌川国芳は江戸時代の後期、19世紀に活躍した浮世絵師です。人柄は北斎とは全く違うタイプで、チャキチャキの江戸っ子、親分肌だったようです。

国芳は動物の絵を多く描きました。猫好きで冬には懐に入れて暖をとっていたとか。猫の絵を沢山残していますが、私が好きなのは金魚の絵。擬人化されていて、金魚が子供おぶっていたりとか、シャボン玉吹いていたりと、鳥獣戯画を彷彿とさせる茶目っ気たっぷりの浮世絵は4コマ漫画のようで楽しい。

北斎の次の世代なだけあって、肩の力が抜けてる感じで自由さというか大らかさを感じます。

実は私のMACのデスクトップ3は国芳の金魚です。ちなみにデスクトップ1は北斎、2は白隠、サブディスプレイはこれも国芳の鯨退治。まあ、データ開くと見えなくなっちゃうんだけどね。

金魚づくし・百ものがたり
歌川国芳筆  江戸時代・19世紀  中判 錦絵

3つ目の金魚の絵は猫との共演ですね。完全にロックオンされちゃってます。棒で立ち向かおうとしている金魚が健気で可愛い。右の方にはパニックになって折り重なっている金魚もいますね。「百物語」だから猫は妖怪の役割?自身作の「相馬の古内裏」のパロディかな?